薪ストーブを使いはじめる前は、薪として使う木なんて何でも良いと思っていた。そこらへんの地べたに落ちて腐りかけているような木でも、倒したばかりの生木でも何でも使えるのだと思っていた。
しかし、実際に薪ストーブを焚きはじめてみて、驚いた。乾燥不足の薪は、全然燃えないで煙や煤を大量発生させるだけだった。ガラスは煤けて真っ黒になり炎の鑑賞どころではなく、バンバン燃やしてもあまり温まらないという状況だった。そして煙突はすぐに煤で詰まってしまい1ヶ月ごとに煙突掃除が必要となった。
たまに「薪が乾燥不足だから薪ストーブの上や周辺に置いて乾燥させる」というような記事をブログで見かけるが、それで本当に使えるような乾燥薪になるのだろうか?私は無理だと思う。それで乾く範囲は表面に付着した雨や夜露などの水分を飛ばすくらいだ。木の繊維の中に含まれている水分までを乾燥させて実質的な含水率を減らすことまではできないと思う。
薪を薪ストーブの上に乗せるということに関連して、一つ面白い実験をしてみた。
きわめて乾燥した細かい焚きつけ用の細薪をさらに細くして、焚き火した場合に炎が上がって燃えやすい形状に組み上げてみた。マッチ一本でラクに火がつく状況だ。これを温度がギンギンに高い状態の天板の上に数時間放置して自然発火するかを実験してみた。木材が自然発火する温度は260-420℃だが、300℃前後の天板の温度で、薪の表面が少し黒く変色する程度で、最後までついに炎が上がることはなかった。