薪ストーブの設置や施工は正しく適切に行わないと火災の原因となる。火災をおこさないための設計、施工にはいくつか対策のポイントはあるが、今回は煙突貫通部の断熱不足が原因の火災だ。先日連絡をもらったので、復旧工事がはじまる前に、速攻で現場検証してきた。
貫通部を観察すると煙突がメガネ石を通されてはいるが、壁の厚みに対してメガネ石の厚みが3分の1程度しかなく、貫通部内の煙突の3分の2の大部分から、もろに周辺に放熱してしまうような状況だった。つまりほとんど煙突の熱が遮断されることなく貫通部の周辺に伝わってしまっていたと思われる。
コンクリート造りの住宅であれば、その施工でも良かったわけだが、古い伝統的な土壁の日本建築だ。土壁だから燃えないと判断したのだろうが、土壁の骨組みは竹、そして隙間の充填にワラを使っている。さらに、リフォームの際に外壁にサイディングをつける下地の板もあった。可燃物が煙突との至近距離にけっこうたくさん存在する状況だった。そして二重断熱煙突とはいえ、断熱材が入っていない中空構造のものだったこともあわせて、今回の火災となったわけだ。貫通部が激しく燃えて、その上の梁の表面を焦がしている。
発見が早かったので大事に至らずに済んだのもラッキーだった。22時位に焚き始めて24時位に、タバコを吸いにまたま外に出て見つけて消防署へ通報したそうだが、そのまま外に出ないで寝てしまっていたら大きな火災となってしまっただろう。
煙突の性能に応じて、可燃物との断熱対策を取り、必要な距離を確保してやる必要がある。