薪ストーブの地震対策

今日で阪神淡路大震災から15周年。当時、テレビから流れてくる倒壊した建物や高速道路の橋脚の画像を見て驚かされた。その時の死者は約6000人。

それと同じような規模の地震がつい先ほど中南米のハイチでもおきた。日本とはあまり関係の深くない遠くて貧しい国の情報なのであまりテレビから画像は流れないが「死者の数は20万人程度になるのでは」と言われている。

日本列島は複数の大陸プレートが沈み込む上に乗っているので、私たちが生きている間に巨大地震が起きてもおかしくない状況だ。特に東海地方がリスクが高いのだ。

ところで地震の際の薪ストーブの挙動はどうなろうだろうか?200キロ近くある重量物が煙突で上から軽く押さえられているので、震度5-6程度までならば、大きな問題はないだろう。さらに、このように基礎からアンカーボルトを立ち上げて、薪ストーブの足に固定するような念の入れようならば、安心度も高いだろう。実際にはここまで念入りな対策をしている人はあまりいないだろうけど、新築時に検討していればこういうこともできる。


しかしその安心は震度6までの地震の場合の話で、震度7の巨大地震の際にはどうなのだろうか?地震の破壊力は気象庁の解説を見てもらうにして、巨大地震の場合は「グランドピアノが天井まで吹っ飛んだ」とか「建物そのものが倒壊した」というレベルだ。この場合は薪ストーブの固定がどうのという問題ではない。アンカーボルトで固定してあるケースを除けば、煙突で上部から支えられている程度では、薪ストーブは煙突から外れて、部屋のどこかへ吹っ飛んでいくだろう。

「薪ストーブが火災の原因になる」という心配をする人がいるが、果たしてその心配は合理的なものなのだろうか?

燃焼中の薪ストーブが煙突から外れたら、炎を排気口から吹き出して凄いことになるだろうと思う人が多いだろうが、実際にはそんなことはない。煙突のない薪ストーブからは炎が立ち上がるどころか煙がモクモク立ち上がるだけで、やがて火は消えてしまう。煙突のドラフト(引き)があるから薪ストーブは燃焼することができるのだ。煙突を失った薪ストーブは鉄の箱の中に薪を抱え込んで、燻らせてやがて消えていく。薪ストーブの表面温度の200℃から300℃程度ではどこか可燃物に当たって接触してもすぐに発火することもないだろう。

それでも「ガラスが割れて熾き火が飛び出したら・・・」とか色々心配する人もいるだろうけど、そもそもそんな巨大地震の場合には建物そのものが倒壊して、中にいる人は致命的なダメージを受けている。ちなみに地震による死の原因の圧倒的ナンバー1は圧死だ。具体的には倒壊した建物の下敷きになって潰されて死ぬということだ。ちなみに阪神淡路大震災の時には冬場にも関わらず、死因の7割が圧死だそうだ。そういうわけで、仮に薪ストーブが原因で火事になったとしても、その場合は圧死した人を燃やすだけの話だ。

さらに言えば地震の後の火災は暖房器具だけが原因ではない。もっと一般的で冬場だけに稼動するわけではない調理器具もあるし、実は漏電や電気器具による火災が一番多いのだ。建物が倒壊した場合に電気配線がショートや漏電しての出火や、地震の際に停電してスイッチオフになったと思われて、実はスイッチオンのままのアイロンなど、停電解除になった時に出火原因になるというようなケースも多い。

そういうわけで、薪ストーブの地震対策を考える前に、家具が倒れたり吹っ飛んだりしないように対策を考えよう。






かわはら薪ストーブは全国

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