今回の岐阜、愛知、静岡の弾丸ツアーの二件目はこれだ。
ハウスメーカーに薪ストーブの設置まで依頼したそうだ。当然ハウスメーカーは自らやることなく、提携の大手薪ストーブメーカーに下請けの形で煙突工事、薪ストーブ設置工事を発注することになる。このケースに場合には施主さんと実際に薪ストーブ施工にかかわる業者が直接打ち合わせすることがないので、内容について十分に気をつける必要がある。
薪ストーブの機種はアンコールだった。住宅地のため排気がクリーンということで触媒式というのがポイントで選択したようだ。しかし、実際には機種の違いよりも、薪の乾燥や焚き方のテクニックの方が排気に与える影響は大きい。このことは意外と知られてない。「触媒式なら排気がクリーン」というのだけが一人歩きしているように思う。
触媒にアクセスするための分解もけっこう大変
定期的に掃除しないと触媒が灰で詰まってマトモに燃えなくなる
アンコールやダッチウェストなどの触媒式の機種は排気の切り替えレバーなど仕組みや構造が複雑なので、メンテナンスする時に分解するのが、とても大変だ。設置後、初年度の構造がまともな状態でもけっこう苦労するので、数年経って、部品が熱で変形したり、ボルトが切れてしまったりすると困難を極めるのは容易に想像がつく。購入時にはデザインとかスペックだけで選択してしまいがちだけど、薪ストーブは長く使うものなので、メンテナンスが難しい機種は、後になってから色々問題が出てくることになる。
またアメリカ製の薪ストーブは精度がイマイチなので組み付けや分解の際にもスムーズにいかないケースが多い。今回も触媒へのアクセスのために色々なパーツを外したけれども、組み付けの際に苦労した。
「来シーズンからは自分でメンテナンスしたい」ということなので、丁寧に教えながら、じっくりと作業した。
けっこうシーズン後は放置しておいてシーズン直前にやる人も多いけど、薪ストーブのメンテナンスはシーズン終了後にすぐにやるのが正解だ。下の写真のように分解清掃して、油を塗っておくことによって、高温多湿な時期に錆びるのを防ぐことができるのだ。灰や煤がついたままにしておくと、湿気を吸い込んで錆びて、鉄の構造部分がボロボロになってしまって大幅に寿命が短くなる。同じメンテナンスの作業なのに、やる時期によって全然効果は違ってくるのだ。シーズン直前のメンテナンスはあまり意味がない。
炉の奥のこのカバーを全て取り外さないと触媒にアクセスできない