鋼鈑製の薪ストーブだからと言って燃費や火持ちが悪いわけではない

立ち上がりが早い鋼鈑製の薪ストーブの場合には、鋳物製やソープストーン製に比べて、重量が少ない分だけ物理的に蓄熱という意味では不利だけれども、それでも致命的に悪いというわけではない。
むしろ鋼鈑製で折り曲げたり溶接で作られているという構造上、空気の漏れが少なく気密が極めて良いので、本来の設計通りの空気の流れを長期間維持できるというメリットの方が大きい。(ガスケットやセメントで気密を確保するタイプの薪ストーブの場合は経年劣化で気密も悪くなるけど、鋼鈑製の場合そういうことがない)
ハンターの最後の薪の投入から8時間後の一夜焚きの後の炉内の様子を紹介しよう。
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表面温度は50℃程度で、触ると暖かさを感じるレベル
(鋳物やソープストーン製だと60℃程度だと思われる)
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灰の中からは熾き火が残っている
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トングで灰から出せば、元気な熾き火が復活
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無造作に中割りを中心にボコボコ熾き火の上に乗せれば、すぐに着火するレベルだった
一晩焚いて、ガラスがこれだけ綺麗なこの状態も特筆できる。これはガラスを拭かないままの状態で撮影したもの。
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再稼動から15分後には天板の温度は250℃まで上昇
このように、鋳物製やソープストーン製と比較しても遜色のないレベルの火持ちと燃費があり、特に鋼鈑製だからと言って悪いとは言えないことも実感できた。
前から感じていたことだけど、翌朝の炉内の熾き火の量は、炉内の容積(どれだけ薪を突っ込んで燃やしたか)によって決まってくるので、薪ストーブの素材(鋼鈑、鋳物、ソープストーン)の違いはあまり関係ない。
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かわはら薪ストーブは全国

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コメント

  1. はらはら より:

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    ガラスの汚れについて。
    灰などをつけて取る方法も有りますがガスバーナーで炙っても取れるような気がするのですが
    どうでしょう?

  2. gerugugu より:

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    鉄自体の厚みがあった方が蓄熱性能は高いと思うのですが、
    カタログ等に何ミリを使用とか書いてあるものでしょうか?
    重量は良く書いてあるのですが。

  3. かわはら より:

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    はらはらさま:
    ガラスについた煤を取るための手間を考えるとガスバーナーは面倒ではないですか?相当長時間熱しないとダメだと思います。

  4. かわはら より:

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    geruguguさま:
    カタログには重量しか書いていませんね。
    厚みは場所によって違ったりするからカタログに書き難いのかもしれません。

  5. トマト より:

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    いつも楽しく拝見させていただいてます。
    針葉樹を焚くと1)煙突の掃除がたいへん,2)広葉樹に比べて薪がすぐ燃えてしまう、と聞きましたがその点はどうお考えですか ?
    ハンターストーブの一連の記事を読んでいて鋼板製も悪くないなという気がしてきました。

  6. かわはら より:

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    トマトさま:
    誰がそんなこと言ったのでしょうか?
    煤の量は樹種は関係ありません。乾燥の方が影響大きいです。乾燥してない広葉樹と、乾燥した針葉樹であれば、後者の方が全然煤は少ないです。
    また薪がすぐ燃えてしまうかどうかは太さによります。広葉樹の細割と、針葉樹の太割りでは後者の方が長持ちします。
    そんなに針葉樹を毛嫌いすることないと思います。焚いたことのない人の妄想と悪しき広葉樹神話だと思います。

  7. うさぎ より:

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    川原さん
    には珍しく比較自体が平等でなくて正しい議論にはなっていなように感じました。
    「トマト」さんは「同じ乾燥具合」とか「同じ太さ」で広葉樹と
    針葉樹を比較してこそ議論というか真実が見えると思いました。
    ただ私は川原さんの仰りたい所は理解できます。つまり日本では針葉樹の森が多くこの林業資産を大切にし使う事はsmartであると思います。
    まあしかし、針葉樹はコストが圧倒的に安い特徴がある半面、灰も少なく入れても直ぐに燃え尽きてしまうのはどうしようもないのではないでしょうか?
    それより昨今、森林組合のナラなどは急高騰しておりt2万円でも買い手が一杯出てくる地域も有るようです。
    そうゆう意味で針葉樹は「絶対燃やせるCB機が地球環境上」から重要で、ペレットストーブはほぼ100%針葉樹が原料ですよね。

  8. 山口透 より:

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    「針葉樹を下手に焚くと煤が多い」の間違いだと思います。しかも、広葉樹も下手に焚くと、結局その煤の量は許容できないですから、比べても仕方ありません。
    下手に焚かなければ良いだけです。
     同一の嵩では、針葉樹のが比重が軽く、早く無くなるのは事実です。

  9. 山口透 より:

    1dbc68b9902863f2b1188086396af296
     鉄板と鋳鉄の熱物性は違いますが、僅差です。
     耐熱強度も、鉄板のSS400と耐熱鋼の差、鋳鉄ならねずみ鋳鉄と耐熱鋳鉄の差の方が、SS400とねずみ鋳鉄の差より圧倒的に大きいです。
     要するに、ストーブから見ると、材料物性の差より構造差のが圧倒的に大きいので、ほとんどの場合、鋳物か鋼板かという考え方が誤解の元になっていますから、そうした分類はやめた方が良いのでしょう。
     また、熱容量にもおかしな扱いが見られます。蓄熱量が大きいと容易に安定したストーブが作りやすいと言うことと、熱容量が大きいとストーブの性能が高いという事の混同です。
     しかも、鋳鉄ストーブの方が鉄板ストーブより蓄熱する等という誤解も絡んではどうにもなりません。
     当然の事ですが、熱容量による熱は、燃焼からのダイレクトの熱と違い、制御系に組み込まれていません。すなわち、熱容量だけで言えば、熱容量が小さい事が性能が高いと言う事です。
     この事と、熱容量でかくして燃焼性能を確保した設計とを混同しないようにしたい物です。

  10. 迷い人 より:

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    薪ストーブの性能ではなく薪の性能だと思いこもうとしても、どうしてもうちのストーブは暖まりにくい気がしています
    朝晩炊きの自分は、ハンター凄く気になります
    シンプルなデザインの薪ストーブが好きです
    E-30M/L スドン15 なども気になります

  11. かわはら より:

    5a326db1e1e9e1431610192552ef3117
    うさぎさま:
    「全く同じ条件の針葉樹と広葉樹を比較したらどちらが煤が多いか」という議論をしているのではありません。
    「針葉樹を焚くと煙突が詰まるほど煤が出るのか?」という話です。
    ですから「樹種による違いより乾燥による違いの方が大きい」と回答しています。
    針葉樹を焚いてはいけないみたいな誤解や神話を打ち砕くためには、一部だけ取り上げられて一人歩きするような話法は危険です。同じ条件であれば針葉樹の方が広葉樹より煤が多いのは当然ですが、それだけ取り上げても意味がないです。
    まして今回は人から聞いた話に対しての質問で自分で確認したわけでない話ですからね。
    焚き方、乾燥の方が煤の量に与える影響ははるかに大きいです。

  12. かわはら より:

    5a326db1e1e9e1431610192552ef3117
    山口透さま:
    フォローありがとうございます。
    おっしゃるとおりです。

  13. かわはら より:

    5a326db1e1e9e1431610192552ef3117
    山口透さま:
    本当は素材の違いより構造の違いなのですが、鋳物で鋼鈑製ほど早く立ち上がるものはあまりないので、実際には素材の違いで選んでしまったも大丈夫だと思います。

  14. かわはら より:

    5a326db1e1e9e1431610192552ef3117
    迷い人さま:
    そのようなニーズであれば、ハンターにして後悔することはないと思います。
    ガツンと焚いてすぐに温まります。
    朝の出かける前に30分しかない時でもハンターを焚けば部屋も温まるし、天板で沸騰したお湯でコーヒーも飲めます。
    鋳物の時は、朝出かけるまで30分しかない時は薪ストーブに火を入れませんでしたけど、鋼鈑したら迷わず焚いてます。

  15. 山口透 より:

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     元々薪ストーブが欲しくて導入したのではなく、仕方無く小型で熱量の取れる薪ストーブを導入したせいもあって、うちの機種も薪ストーブとしては超高速に立ち上がりますが、それでももっと早ければいいのにと感じます。

  16. かわはら より:

    5a326db1e1e9e1431610192552ef3117
    山口透さま:
    早いと言っても市販モデルだと安定稼動まで30分程度はかかりますよね。
    プロトタイプの本当のロケットストーブ型だと15分で安定燃焼します。

  17. トマト より:

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    川原さま
    言葉足らずですみません。
    私は北海道に住んでいますが、去年ドブレのストーブを設置しました。針葉樹の薪については1)友人がカラマツの薪を使ったところ普段使っているナラの薪と違ってすぐ燃えてしまう 2)薪ストーブを施工したショップの人がその店のお客にマツばかり焚かないでね、といったのにマツばかり焚くので煙突から火を吹いた。という話をもとに質問しました。1)については材木屋から購入している薪なので乾燥具合は同程度かと思います、太さは現物を見ましたがカラマツの方がナラより太い薪でした。2)についてはススというよりタールが問題になるのでしょうか ?このユーザーがどれくらいの頻度で煙突そうじをはていたのかはわかりません。私はマツ類はタルキなどを焚き付けとして少量しか使いません。いまの自宅は2t車一台の薪で2シーズン持つかなという感じです。以前はホームセンターの薄い鉄板ストーブを使っていて薪も近所からもらった廃材でした。ドブレでナラを焚きだしたのは去年からです。
    うさぎ様
    うちの町の森林も針葉樹が圧倒的に多く森林組合の友人からは薪には「マツ」使って?と言われますがすぐ燃えてしまうと薪小屋も増やさなくてはならないし、仕事を中断してまめに薪を足すのがたいへんという気がして、まだ「マツ」類は使っていません。おっしゃることはよくわかります。
    山口透さま
    >当然の事ですが、熱容量による熱は、燃焼からのダイレクトの熱と違い、制御系に組み込まれていません。すなわち、熱容量だけで言えば、熱容量が小さい事が性能が高いと言う事です。 この事と、熱容量でかくして燃焼性能を確保した設計とを混同しないようにしたい物です。
    「熱容量」はググッたのですが上の分の意味がわかりません。制御系とか熱容量でかくして燃焼性能を確保した設計とはどういうでしょうか ?よろしかったら教えてください。せっかくですから学びたいです。

  18. 山口透 より:

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     比熱×重量です。体積比熱なら×体積です。
     制御系は薪ストーブの場合、ほとんどが手動ですですよね。一部バイメタルによる一次元制御がありますが。
     熱容量でかくして燃焼性能を確保した設計とは、ソープストーンのストーブ等です。
     現行商品は、熱容量の大きなストーブが性能の高い傾向にはあるし、バーミキュライトのソープストーン置換のように、安定性上がる場合が多いが、実はこれは残念な話だと言う事ですね。

  19. かわはら より:

    5a326db1e1e9e1431610192552ef3117
    トマトさま:
    背景を含めてのご質問ありがとうございます。事情が判りました。論点をはっきりさせて一つづつ整理しないとわけがわからなくなりますよね。
    そのユーザーさんのように松ばかり焚くような使い方であれば、鋳物製ではなく鋼鈑製のハンターが絶対にお勧めですね。薪ストーブ本体が赤くなるくらいの勢いで、近くにいると苦痛になるレベルで焚きたいところです。
    松を相当高温で焚かないとヤニやタールが凄いことになります。これが付着して引火して煙道火災となったのだと思います。
    楢と唐松の同じサイズを比較したらどちらが早く燃えるかは誰でも判ることだと思います。
    松の場合、煤やタール、ヤニを燃やし尽くすくらいの高温で焚きたいということです。鋳物製だとそれに耐えうるものはないです。
    もしお客様が「杉、ヒノキ、松、建築廃材などの針葉樹をメインの薪としてガンガン使いたい」という希望を出してきたら、迷わずハンターをお勧めします。
    現在のトマトさまの使い方であれば鋳物製でも大丈夫だと思います。

  20. トマト より:

    74be16979710d4c4e7c6647856088456
    山口透さま
    わかりやすい解説ありがとうございました。熱容量が少ないということは立ち上がりが早い、ということでいいのでしょうか ?
    川原さま
    アドバイスありがとうございます。私の知人、友人で最近薪ストーブを導入する人が多く立ち上がりの時間がとれなくて週末ユーザーになったりするものですからこんど導入を検討する人がいたらハンターを勧めてみます。

  21. かわはら より:

    5a326db1e1e9e1431610192552ef3117
    トマトさま:
    立ち上がりの速さで不満を感じることがなく、とても扱いやすいので、きっとお勧めした結果、満足してもらえると思いますよ。

  22. 山口透 より:

    1dbc68b9902863f2b1188086396af296
     熱容量が小さければ、それに与えられる熱量が同じであれば、温度上昇は早くなりますね。
     しかし、ストーブの立ち上がり終了の定義次第である事と、全体に熱が行き渡る前に、実質的に立ち上がりの操作を終了できる機種では、どう評価すれば良いか曖昧です。。
     ある性能に関連する物理量が複数ある場合、当然、一つだけでは決定されないわけですし、薪ストーブに極めて多く見られるように、各性能の定義がそもそも物理的に曖昧な場合は、更に話しがややこしくなります。
     例えばノザキ2300では、巡航運転に達するには早くて着火から25分かかりますが、薪追加やレバー操作は5分時点で終わらせる焚き方もできます。そして暖気は10分位から感じられます。この時、何をもって立ち上がりというかは何を求めているかに因るでしょう。
     一方、一時間以上かかる薪ストーブもごろごろあるわけで、そうなると、立ち上がりを気にする使い方をする事自体が誤りですから、立ち上がりという概念はあまり意味をもちません。
     2300はハンターと同等かそれ以上に立ち上がりの早い機種ですが、それでも、寒い朝、あー,遅ー!!!と思います。そうなりそうなときは、エコールでも入れておけば、再着火可能な熾がしっかり残っているので、立ち上がりはまた違う物になります。
     熱容量の小ささで言えば、3980円の板金メガネストーブ等になり、立ち上がり早いですが、当然それを一般にお勧めは出来ないわけで、何か一つの物理量を重視しない方が良いでしょう。
     以下は2300の焚き付けの様子です。薪組等の解説はFBに飛んで下さい。
    https://www.youtube.com/watch?v=SCP5pXguURA

  23. トマト より:

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    山口透さま
    熱容量,立ち上がり、さらに一般化して性能と物理量の関係の解説ありがとうございました。新たに薪ストーブを導入する場合この何分の一でも考察すると後悔しないストーブになるのにと思います。
    滝登り焚きつけすごいですね、こんどうちのストーブでも実験してみようかと思います(^_^)ありがとうございました。

  24. 森の風 より:

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    只今、自家用の鋼板製薪ストーブを製作中です。鋼板の厚さを考慮中でしたので、たいへん興味深く記事を読みました。
    ストーブの中で薪を燃やすと1000度になります。そこから我々が生活の中で暖房として享受するのは、20~30度です。この二つの温度の差の中に、まだまだ薪ストーブが発展する余地が有るように思えます。

  25. かわはら より:

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    森の風さま:
    コメントありがとうございます。厚みは場所によって変える必要がありそうですねぇ。どうなるか楽しみです。

  26. 山口透 より:

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     燃焼温度が高い方が熱交換がしやすい理屈ですが、薪ストーブの一番の問題は、排気に熱エネルギーを使っているという事かと思います。

  27. 森の風 より:

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    自然給気を必須と考えて作っております。(原発が使えなくなった時にその薪ストーブも使えないと言うのは、ジョークとしては最上ですが。)また、クリーンな排気を考えると1000度も必須。
    排気経路で熱の回収をと考えますが、排気のエネルギーと熱交換のそれぞれの効率との間にベストポイントがありそうですね。

  28. かわはら より:

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    森の風さま:
    強制排気システムの難点は、そこですよね。電力を失った時に使えないというのは悲しいです。
    排気経路からの熱の回収は、やり過ぎると煤が付着するので、ベストなところを見つけるのがポイントだと思います。

  29. 山口透 より:

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    薪ストーブは、燃焼の一部が1000度越えなのであって、事実上排気がクリーンでないのが前提に作られている訳ですから、本質的には方式を変えないと。

  30. 迷い人 より:

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    原石発掘シリーズに気になっているE-30M/L のエントリーを希望します
    機会があれば

  31. 森の風 より:

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    燃焼温度1000度を維持できる環境を作ること、そしてそこでの燃焼ガスの滞留時間の延長。こう書いてしまうと、全ての薪ストーブの開発に当て嵌まってしまいますが、後者の方が難しい感じがします。
    上記のような条件をクリアしたものが、ペチカ、オンドル、暖炉等々を含めて、かってあったのだろうか?

  32. かわはら より:

    5a326db1e1e9e1431610192552ef3117
    迷い人さま:
    もう少し早くリクエストいただければ、先日長野総商に行った時にチェックしたのですが、目的がハースストーンだったので全く気にも止めずスルーしてしまいました。

  33. かわはら より:

    5a326db1e1e9e1431610192552ef3117
    森の風さま:
    完璧なものは難しいので、どこかで妥協点を見つける必要があるのかもしれません。