工務店が設置、施工した薪ストーブの煙突の依頼を受けた。自社で施工した案件のアフターメンテを自社でしないで他社に丸投げっていうのがすごいと思うが、工務店で雇った大工さんが施工したのが実情だろうから、それも無理はないだろう。家を建てた大工さんに「煙突掃除行ってくれ」って言っても、まずやらないだろう。
現場に行くと、ホンマの中国製鋳物薪ストーブ&オールシングル煙突施工の典型的なパターン。
壁、天井と、シングル煙突の離隔距離を無視した施工
炉壁もなしなので、天井、壁ともに火災のリスクが高い。本来であれば、シングル煙突の場合1メートルくらい可燃部分との離隔距離を取らないと、非常に危険だ。
私は屋外側はもちろんのこと、室内側も二重断熱煙突を使っての施工を基本としているので、こういうびっくり案件は、とても勉強になる。
煙突内は完璧に煤で詰まっていた。
煙突掃除の後に試し焚きして、問題なく燃焼するのを確認
壁面内部の間柱、ベニヤが焦げていることが容易に想像できる(隙間から煙が立ち上がっている痕跡が外壁に付着)
こういう場合でも、元請けの工務店のメンツをつぶせないので、施主さんにも工務店にも、どこまで突っ込んで話していいのか判らない。下請け仕事の場合には、黙って言われた煙突掃除だけするしかないのだけど、複雑な気分になる。
私から見たら、あり得ない施工だけど「焚き続けると、やがて煙突が煤で詰まって、これ以上は焚けないから、火災にならない」という非常に高度な設計なのかもしれない。ひたすらローコストを極めた、こういう施工は、全国的にも、かなり多いと思う。
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コメント
連日のトンデモ施工対応、お疲れ様でございます…。(素人目で見てもパッと見、良いところが何も見当たらないような施工ですね。この遠隔距離で尚且つ直上に照明とか入ってるんですよね、炉壁無しはとか横引き後の立ち上げ長とか…)
しかしこのベニヤの焦げは恐怖でしかないですね。何年使ってらっしゃるか分かりませんが低温炭化も相当進んでいるのではないでしょうか。
万が一、火災になったときオーナーさんの被害もさることながら、煙突掃除という形で関わったかわはらさんのところにも難が及ばないか心配です。
ガヤさま:
ご心配ありがとうございます。
なかなか微妙な案件ですが、本文中にも書いた通り、火災になる前に煙突が詰まって、強制的に自動消火されるという非常に高度な設計のため、低温炭化まではしても発火に至るまで継続して焚けないので、事故には至らないと思われます。
人それぞれ考え方や、営業方針は異なります。 もし火事が今後発生した場合にも責任はない立場は良く理解出来ます! しかしたかが3万円の煙突掃除。元受けの顔を立てることを優先する営業方針より、大事なことがありそうだよねぇ。薪ストーブ業界に携わる者としては、大工さんや、工務店の低いレベルに合わせない信念も必要だと思いますわ。
薪よう子さま:
それは具体的には、「他社施工の物件の煙突掃除は断る」ということですか?
現場着いて断ることは煙突掃除ではないかと。つまりこうした案件の危険性を工務店に理解させる(持ち主さんが煙突掃除でもし居れば、大工さんの視点とは違う薪ストーブ業界の視点で危険性をお話ししてしまう)ようなコミュニケーションが優先かなと考えた次第です。
下請けの立場では、元請け様の注文は絶対なので、無理難題でも言われたままやるしかないです。カラスが白いと言われたら、そのまま「はい」とやるのが下請けの義務です。
火災や雨漏れなどの責任対応は元請け様が、施主さまとの間で行うことで、下請けは関係ないです。
建築業界では、元請けをすっ飛ばして、下請けが施主さまと直接やりとりするのはご法度で、それをやったら業界から干されてます。