朝まで神話

寝る前に投入した薪を朝まで燃やせるかどうかという話題。これについては諸説あって、定義を明確にしないと同じ土俵での議論ができない。

朝まで燃えるのか

「朝まで」の意味は何だろう?朝まで炎が上がっている?朝までちょっとでも熾火が残っている?朝にその熾火だけで再着火可能?それとも薪ストーブの表面温度が何℃以上の状態?たまに「朝まで燃やせるんですか?」って訊かれるけど「それって、どういう意味ですか?」って確認しないとすれ違いの議論となる。

また、最後に投入した時刻、その人が就寝する時刻によっても、何時間後が朝なのかという問題だってある。あまりにざっくりした質問すぎて、最初から真面目に答える気がしない質問だ。

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よく見聞きするケースだけど、寝る前に炉内に薪を炉内に突っ込んで、すぐに空気を絞っている使い方がある。炎があまり立たずに、煙とタールが大量発生して、ガラスが真っ黒に煤けて、朝には燃え残った薪から煙が燻ぶり続けている。これでも「朝まで燃える」と言うわけだ。

ここまで極端でなくても、程度問題で、炉内温度が十分に上がる前に空気を絞ったり、その絞り具合が極端すぎたりで、煙モクモク状態で、ゆっくり燃やすことで「朝まで燃える」と言っているケースも多いと思う。

上記のような焚き方は、薪ストーブの使い方としては明らかな誤りだ。煙道火災のリスクも高いし、本来であれば燃えて熱になる成分を、煙として大気中に捨てて、煤やタールとして煙突に付着させているだけだ。

正しい就寝前の朝まで燃やす使い方は、炉内にたっぷり熾火がある状態で、薪を目いっぱい突っ込んで、10-20分は空気全開でガンガン燃やして、十分に炉内温度を上げてから、空気を適切に調整することだ。つまり寝る30分前には最後の薪を投入する必要がある。機種にもよるけど、空気調整の際には全閉にしてしまうのは良くないケースが多い。

熾火たっぷりの状態に薪を目いっぱい投入

ここですぐに空気を絞らないのが大切だ。

空気全開で10-20分くらいはガンガン焚いて、炉内温度を上げる

十分に温度が炉内上がってから、適切に空気を調整する

空気調整は全閉にはしない方が結果的に良いケースが多い。微妙な調整が必要で、朝になった時に燃え残りの炭が多い場合には、絞り過ぎと判断できる。絶妙な位置にしておくと、赤い熾火が適度に残ってくれる。この熾火を寄せ集めて、空気を送り込んでやれば、炎が立ち上がって、細目の焚きつけ材にスムーズに着火させることができる。

ちなみに、今回の記事の写真のHetaアンビションクラスの重量100キロ程度の比較的小型の薪ストーブでも最後の薪の投入後の4-5時間後だったら楽に再着火させることができる。

一番の売れ筋の重量150-200キロクラスの中型の薪ストーブであれば6-8時間後くらいであれば楽勝だ。

重量200キロオーバーの大型の薪ストーブであれば10時間後でも楽勝だ。

翌朝の焚きつけのテクニックにもよるけど、それを上手にやれば上記の時間より50%増しの時間が経過していても、翌朝の熾火だけからの着火は可能だ。

このような焚き方をすれば、薪に含まれる燃焼成分を、効率良く燃やし尽くして目視確認できる煙も出ないし、煙突への煤の付着も極めて少なくなる。きちんと薪が熱に変換されるので、結果的に朝まで暖かいということになる。

「朝まで炎の立ち上がりを絶やしたくない」「朝起きた時からTシャツ一枚でも全く寒くないのが良い」という場合には、薪ストーブ専用機にこだわらずに、薪とペレットのハイブリッドモデルの「アキミックス」をお勧めする。これならば、起きている時には薪を焚いて、就寝時にはペレットに切り替えて、本当の意味で、文字通り朝まで連続で燃やすことが可能だ。

薪もペレットも、どちらでも燃やせるアキミックス

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