スレート瓦のコロニアルやカラーベストなどの屋根の塗装の際に、あまり一般的には行われてない工程だ。地味だし、やってもやらなくても、お客さんはほとんど判らないだろう。
しかし、この処理をしないと、上下の重なり合ったコロニアルの屋根材の段差部分に旧塗膜がくっついて固まって、隙間をふさいでいるため、中に溜まった水が水下に抜けられなくなって、内部に溜まってしまい、雨漏れの原因となるのだ。水の逃げ道を作るために、極めて重要な施工手順だ。上側の屋根材と、下側の屋根材の縁を切るから、縁切りだ。
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屋根材の内側(内部)に浸み込んできた雨水や溜まった結露水の抜け道を確保するための作業が、縁切りだ。
一般的な住宅の屋根の面積でも、この作業を一人でやったら最低でも丸々二日間やかかる。その分の、人件費、手間賃を出してくれるならば、やるケースもあるだろうけど、「価格競争で一円でも安いところでやる」「一式激安○○万円」みたいな場合には、こんな作業はすっ飛ばして、いきなり塗装に入るだろう。
塗装作業は「塗料を塗る」というところは派手で、見た目も色も変わるのでインパクトが大きいけど、実際には、その前段階の、下地作りや養生などの事前準備の方がはるかに時間も手間もかかっているのだ。その部分をきちんとやるかどうかで、仕上がりや、寿命が大きく違ってくる。
正しい施工手順としては、煤や汚れを高圧洗浄機で綺麗に落として、乾燥後に紙やすりで表面を少し削って下地作りして、周辺をきちんと養生して、それから下塗り剤を塗って、最後に上塗りの黒塗装と、トータルで最低でも1-2日かかってしまう。そのくらいやらないと、付け焼刃で、あまり意味のない仕事となってしまうのだ。
シーズンオフの薪ストーブの表面の塗装も同様で、吹きこぼれや錆などの汚れを一度サンドペーパーや研磨剤でしっかり落として下地作りをしてから、塗装しないと残念な仕上がりとなる。汚れや錆の上にいきなり塗装するのはNGだ。塗った直後はぱっと見は綺麗に見えるかもしれないけど、すぐに剥げてきたり、仕上がりが今一つの残念な仕上がりとなる。
この縁切り作業は、ひたすら地味で地道で、手間がかかる。上の写真のように一部分だけならば、短時間で済むけど、一軒家の屋根材の量は膨大だ。屋根の棟に近いところは、距離も短いけど、下の方に降りていくにつれて距離も長くなり一段あたりの時間がかかるようになっていく。
作業は、ある程度の力を入れないとバールが入っていかないし、力の加減を誤ると屋根材を割ってしまうリスクもあるので、大胆さと繊細さの両方が要求される。幸い私の場合は、煙突工事の際に既存住宅のスレート瓦を撤去する作業で慣れているので、思ったよりスムーズに作業が進んだ。煙突貫通部分のスレート瓦を撤去する場合には、スレート瓦が重なり合っていて見えないところに打たれている釘を外部から金切り鋸や、専用の切断工具を使って釘を切断してから、スレート瓦を手前方向に引っ張って取り外している。その経験があるから、当初に見込みよりも早く作業を終えられそうな感触を得ることができた。
このように縁切り作業した後に、シーラー(下塗り剤)を塗ってから、上下の屋根材の重なり合っている部分に「タスペーサー」という屋根材専用のスペーサーを挿入して隙間を確保する。
そして一番最後に、上塗り剤を塗るのが手順となる。
シーラーを塗る前に、縁切りの後すぐにタスペーサーを入れたくなるけど、そうするとシーラーの施工時に屋根材の重なり部分にもシーラーが入ってしまう。それが垂れてきて、上塗り剤を塗る時に綺麗に仕上がらなくなる。
現場に合わせた適切な材料を使って、正しい施工手順で丁寧に仕事をすれば、自然とその結果が出てくる。このことは、塗装工事だけでなく、薪ストーブ設置工事でも、他の仕事でも共通して言えることだと思う。
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