軽井沢の別荘をリフォームして設置した新型アスペクト5に、お客様の来荘に合わせて訪問して火入れ説明した。
まず火入れ前に外気導入への疑問や、煙突の固定方法、炉台、炉壁による遮熱、設置工事に関する基本的なところを説明した。
外気導入ついては床下からアルミフレキダクトで本体に直結する施工方法(直接接続)もあるけれども、それだと背面にアルミフレキダクトを立ち上げるスペースが必要になり薪ストーブの設置位置が大きく前にずれてしまうこと、また埃がアルミフレキダクトに積もって非常に見苦しくなるなどのデメリットが大きく、炉台に設定したシャッター開閉式レジスター(ガラリ)から燃焼用の空気を送り込んだ方(間接接続)がメリットが大きいことを説明した。
煙突の固定方法についても、私のオリジナルの「かわはら式耐震煙突固定法」でがっちり薪ストーブ本体と一体化して梁から押し付けるように固定していることや、エルボの位置をなるべく上に持ってきて、見た目がウザくならないようにしている。
無理に薪ストーブ本体を炉台中央に設定するありがちな施工方法だと、エルボの位置が下になって傾斜した煙突が邪魔になりがちだ。それに炉台中央への薪ストーブ設置は左右の炉台の広さがどっちつかずになり、道具を置く際にも中途半端になる。どちらかに寄せて広く使える炉台の方が圧倒的に使い勝手が断然良い。
今回の炉壁は施主さんのオリジナルなのだけど、空気層を70ミリも確保しているので炉壁の鉄板は熱くなっても、その後ろの木部には熱が伝わらないので問題がないということも説明した。「薪ストーブの右側の炉壁は離れているため不要だった?」という疑問も出たけど、1メートル以上離れていない限りはあった方が無難という説明をした。
このように、安全性、快適性、使い勝手を総合的に考慮したプランであることを理解してもらってから、火を入れた。
上部に細割り、焚きつけ材を置いてバーナーで一気に点火してしまう作戦が手っ取り早く確実なので、その方法をお勧めした。
薪が太すぎると炎の立ち上がり方が今一つになるので、その場合は少しだけ扉を開いて、隙間から空気を送り込んでやると炎の立ち上がり方が良くなる。しかし、根本的な対策は細目の薪中心で、最初はスタートすることだ。
この状態から数分待つと、最下段の薪も全部炭化して黒くなって、上に積みあがっている熾火状態の細い薪が崩れるので、そうなったら追加薪のタイミングだ。(薪を追加できる空間ができたらというのが判りやすい目安)
1回目の追加薪の後も空気を絞らずに全開のまま、しばらくガンガン焚き続ける。
天板に手をかざすと「熱い」と感じるくらいに温度が上がれば、空気調整のタイミングだ。
アスペクト5の空気調整レバーは一本だけで、手前に引き出せば全開、奥まで押し込めば全閉で、その中間はシームレスに自由自在に調整可能だ。操作の際の質感も悪くない。炎の表情を見ながら、青白いオーロラ炎と、黄色い一次燃焼の薪から立ち上がっている炎の量が半分半分位になる状態にはるようにレバーを調整するとベストな燃焼が得られる。
一度調整したら、細かくその後レバーをいじる必要はない。次の追加薪のタイミングまでは維持しておいてOKだ。
先ほど追加した薪が燃え尽きて熾きになって、次の薪を投入するスペースができたら、空気を全開にして薪を入れてしっかり燃やして天板温度が高くなったら、空気調整の繰り返した。
このように、かわはら薪ストーブ本舗で施工した場合には、工事をやったらそれで終わりではなく、取り扱い説明を極めて重視している。薪ストーブをはじめて使う場合の疑問点、注意点を、実際に時間をかけてやって見せながら丁寧に説明している。お客様も「思っていたより簡単」と言ってくれた。
これまでは秋冬に別荘に来ると寒くてきついと言っていたけど、これからはきっと楽しみに変わるだろう。
「薪ストーブのない別荘なんて...」というのが、北軽井沢店の看板へ入れるキャッチコピーの候補としてあったのだけど、あまりに挑戦的過ぎて敵を作りそうな感じで、無難な“No fire, no life.”にした。しかし、もしかしたら、その候補のままでも良かったかもしれないと、お客様と話していて思った。
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