今回、他社施工でシングル煙突が接続されていたハースストーンのグリーンマウンテンを、二重断熱煙突に入れ替える工事の依頼を受けた。
触媒機なので、バッフル板を取り外して炉内側からの煙突掃除は困難だし、煙突トップから下へ煤を落としても煤の回収は困難な機種だった。そのため、煙突掃除の際には煙突を取り外すのが必須なのだけど、スライド煙突を下部で使ってなくて煙突を取り外すのが困難な施工だった。天井付近の二重煙突からシングル煙突へ変換している部分のビスを取り外して、その部分で縮めて、長いまま一体化した状態の煙突を取り外す施工だ。(まだ平屋だから何とかなったけど、吹き抜けでもこの施工方法がこの施工店では一般的なので、着脱に苦労する)
また、燃え方が悪くなってきたので、施工店に煙突掃除を依頼しても、点検したり見たりしたわけでもないのに、「まだまだ大丈夫ですよ」という回答で、全然来てくれなかったそうだ。メンテナンス性を無視した施工で、なおかつメンテナンスにも来てくれないということで、当店に依頼が来た。
現場を訪問して、触媒を点検すると、先日紹介したように、触媒が灰で詰まっていた。これだとダンパーを閉じると排煙の抜けが悪くなるので、燃え方が今一つになってしまう。お客様には定期的に点検と清掃の必要があることをお伝えした。バッフル板を取り外せば、炉内側から触媒にアクセスできるので、1-2か月に1度程度触媒に付着した灰を取り除くことをお勧めした。
そして既存のシングル煙突を何とか取り外して、二重断熱煙突に入れ替えた。入れ替え後の燃え方は、立ち上がりから明らかに良くなった。温度が上がってからの触媒に切り替えての二次燃焼状態まで確認してもらった。「劇的に良くなって、本来の薪ストーブの性能を発揮できるようになったと思う」というコメントをいただけた。
私もこの機種の実機を見るのは初めてだったので、勉強になった。
この機種も最近のモデルの典型例で、レバーで空気を全開にしても、かなり空気量が制限されていて、焚き付け時には、扉を若干開いてやらないと、空気不足になる。温度が上がって安定燃焼してからは扉を閉じても大丈夫だけど、レバー全開でも供給される空気量がかなり少ないので、煙突からの排気のドラフト、上昇気流の強さがポイントとなる。つまり、口元から二重断熱煙突にして、排気温度を高く維持することが良好な燃焼のためには必須と思われる。
10-20年前に販売されていた(廃盤になってしまった)薪ストーブと、最近発売された薪ストーブは、別物と言っていいくらい違う。最新、最近の薪ストーブほど高性能な煙突を要求している。
どんな薪ストーブでも、口元まで二重断熱煙突で施工して、きちんとメンテナンスしてやることが重要だということが、この件からも理解できると思う。
薪ストーブ本体だけでなく、煙突までトータルで考えて、メンテナンス性まで考慮に入れたトータルでのシステムとしての、施工が重要だ。
当店で施工すれば、このように、やり直しせざるを得ないようなことが起きないような合理的な提案を最初からするので、結果的に安上がりになる。
また、希望している候補の機種に対しても、忖度なしで長所と短所の情報をお伝えする。ネットの情報だけでは判らない本当のところが大切なのだ。実際のところ、短所についてはメーカーや取引先への配慮から、ネガティブな情報は掲載しにくいのが実情だ。
快適かつ安心、安全で、満足できる、薪ストーブライフを実現するために、当店を活用いただけると幸いだ。
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コメント
薪ストーブや煙突の選択は高度で良心的な川原さんみたいな技術店に頼むと安心よねー
せっかくソープストーン名機だったハースストーンは触媒やら切り替え装置やらで残念で面倒な薪ストーブになったのは悲しいけどもう戻らないね!
薪よう子さま;
薪ストーブ本体を憧れだけで選んでいる段階では、なかなか解らないことだと思いますが、この記事を通して少しでも、施工店による違いを感じ取っていただければ、うれしいです。
おっしゃる通りで、アメリカの排気規制に適合させるために触媒&ダンパーを組み込んだことによって、「燃えにくい」「メンテが面倒」「破損リスクの増大」など日本ではデメリットの方が大きくなったと思っています。