よく「杉や松の針葉樹は薪ストーブで焚いていけない」とかいう話を聞くが、決してそんなことはない。
写真は昨晩の我が家の薪ストーブの様子だ。敢えて焚きつけから安定燃焼の段階まで杉だけ100パーセント使用して焚いている。ご覧のようにガラスが煤けることも全くなく、良く燃えてくれる。針葉樹でもしっかり乾燥させていればこのように問題なく焚ける。写真は2年乾燥モノの杉だ。
針葉樹は広葉樹と比較して、比重が軽く油分を多く含んでいるので、温度が高くなりやすく、すぐに燃え尽きてしまう傾向があり熾き火が残りにくい。このため、薪ストーブの焚きつけとか、早く温度を上げたい時のブースター材として使うのに最適だ。薪ストーブでご飯を炊くとか、野菜炒めを作るとか短時間で強い火力が欲しい時にも針葉樹の薪は重宝する。
それから薪ストーブのシーズンに入った直後とか、今の時期のように終わる間際などの「ちょっと肌寒い」みたいな時に薪ストーブを焚く場合に、広葉樹だと熾き火が残って部屋の中が必要以上に暑くなり過ぎる傾向にあるが、針葉樹だと部屋が暖かくなってきたら薪をくべるのをやめると、すぐに燃え尽きて熾き火もそれほど残らずに部屋が暑くなりすぎるということもなく快適な室温を作ることができる。
一方、広葉樹は火がつきにくいけど、一度つくと長持ちして熾き火も残り長時間暖かいという特徴がある。針葉樹は短距離ランナー、広葉樹は長距離ランナーと考えて適材適所で使い分けてやるのが合理的な薪の選択だと思う。
針葉樹を焚く上で気をつけなければならないポイントは、その特徴から燃焼温度が高くなり過ぎる傾向にあるので、そのときの燃焼状態に応じた太さを選択して薪ストーブの温度を上げすぎないように気をつけることだろう。また、比重が軽いということから、重い広葉樹と比較して同じだけ暖める場合には大量に必要となることだ。熱量はある程度薪の重量で決まってくるので、重さが半分だったら量は倍の量が必要になるということだ。また同じくらいの乾燥度の広葉樹と比較すれば煙や煤の量は多くなる。
私の場合は広葉樹の薪を既に3年分集めたので、無理に針葉樹を集めるということはしていないが、「杉や松ならいくらでも入手できる」という環境の人は無理に広葉樹を焚くこともない。上手に焚けば杉や松の針葉樹でも薪として活用できる。
原油高騰の影響もあって来シーズンから薪ストーブの導入を考えている人も多いと思う。DIYで上手にやれば10万円程度で薪ストーブ本体、炉台、煙突までそろえることができる。以下のURLに我が家の薪ストーブの導入コスト、ランニングコストをまとめてあるので参考にして欲しい。
http://www.geocities.jp/frankrin_1st/wood_stove/cost.htm
あとは燃料となる薪の確保だが、薪ストーブを導入する前から集めておかないと焚くものがなくて大変なことになる。薪ストーブを経験していない人はそこらへんから拾ってきた地べたに落ちている木でも燃えるだろうと甘く見ていると思うが、そういう木は全く燃えずに使い物にならない。杉や松の針葉樹でも上で説明したように使えるが、乾燥しているということが前提条件だ。理想的には2年、通常は1年、緊急時や初年度は夏をはさんで半年の乾燥期間が必要だ。薪ストーブを考えている人は、その前にまずは薪集め、薪割りで燃料を確保だ!