コストを抑えるためだったり煙突からの熱を期待して、室内側をシングル煙突で施工する方法もあるけど、地震による薪ストーブ本体の横揺れや転倒を防ぐ意味合いからも、口元まで全て二重断熱煙突で施工した方が有利だ。その分、間違えなくコストは上がるけど、耐震性能の向上、そして何よりも強いドラフトでの良好な燃焼という本来の目的からも、今後設置を考えている人は全て二重断熱煙突という方法を検討しよう。
口元から二重断熱煙突で施工
そして地震による強い揺れの場合には煙突が大きく振られて薪ストーブが横にずれたり、最悪の場合には外れる可能性も出てくる。「(建物の被害がないのに)地震の際に薪ストーブが動いてしまった」という場合には、煙突の支持の本数および場所が十分でなかったことが考えられる。通常は貫通部分や梁の部分などで3箇所程度は支持を取るが、万全を期したい場合には、それだけでなく、煙突一本ごとに1メートルごとに支持を取って炉壁ぎりぎりの低いところまで含めれば、煙突が地震の揺れで振られないようにする対策にはかなり有効であろう。ちょっと支持金具が目についてうざったい気もするけれども、見た目と強度のどちらを選択するかという問題になる。
貫通部分での固定(二階床部分)
さらに薪ストーブ本体の固定の問題を考えてみる。基礎から立ち上げたアンカーボルトと薪ストーブの足を固定すると横ずれ防止にかなり有効だ。しかし、それだけだと万一煙突が外れた場合に薪ストーブが転倒したり、足が折れたりするリスクが考えられる。さらに背面のヒートシールド取り付け用のボルト孔を利用して、壁面に設けたアンカーボルトと固定すれば完璧だと思う。
上部は二重断熱煙突で、背面と底面はアンカーボルトでと、3面からの支持を確保すれば、完璧であろう。
当然、対策をした分だけがコストアップになるが、10万円程度だろう。他社と見積もりを比較して「1円でも安く」と考えている場合には、地震対策は全くできないけれども「多少値段は高くても安心できる施工を」と考えている場合には、アース・リー山武店にご依頼いただければ対応する。
ちなみに薪ストーブの背面や、煙突の支持金具を多く使う場合には、下地の処理も重要だ。ネジが都合良く効く場所に柱があるとは限らないというか、まずそういう都合良い場所には柱がないのだ。こういうことを総合的に考えて、新築時にきちんと設計することが重要なポイントだと思う。薪ストーブの設置工事を考えている人は、コンサルさせてもらえれば、家の構造も含めて、万全の地震対策を施した薪ストーブ設置の提案をさせてもらう。
もちろん新規で設置する場合だけでなく、既存で薪ストーブを設置している人が地震対策を取りたい場合や、地震の後の安全性の点検の依頼も受け付けている。