2年前にある設計士に依頼して新築で薪ストーブのある自然素材の家を建てたけど、薪ストーブ取り付け工事に関わった薪ストーブ屋さんは遠方のため、最初に1回だけチョロっと「火入れ」と称して登場したようだけど、きちんとした取り扱い説明がなかったようだ。遠方から片道数時間かけて来ているのだから、仕方ないかもしれない。薪ストーブ屋さんの店員が自宅で薪ストーブを使っていないケースもあり、詳しい説明ができないのもよくあることだ。取り扱い説明の時に着火剤を利用している時点で「薪ストーブの焚きつけに慣れてない人だ」と疑った方が良い。その設計士は自宅で薪ストーブを使っているということだけど、さすがに薪ストーブの使い方レクチャーまではフォローしてないようだ。
そのため上手に薪ストーブを使うことができなくて、煙モクモク、臭いが家の中のみならず、近所にも広がってしまって、苦情をもらってしまったそうだ。これがトラウマになってしまって、怖くてそれから薪ストーブをほとんど使えない状況で、たまに、夜中に近所が寝静まってから、ひっそりと焚いたりしていたようだ。薪ストーブを楽しみに新築したのに、まともに使えない状況で、心情を察するに余りある。他店で施工した人でも何とかしてあげたくなる。
家に入った瞬間、その雰囲気から、あの設計士だとすぐに判った。以前にもこの設計士の建てた家で薪ストーブでの近所迷惑の相談を受けたことがあるからだ。
薪ストーブの炉内を確認するとドス黒いタールが付着していて、温度が上がってないことが判った。煙や臭いを出すのが怖くて、薪を投入できないので、温度が上がってないという典型的なケースだ。また、購入した薪を利用しているために、形やサイズがある程度の大きさのみなので、焚きつけにふさわしい細くて小さな薪がない状況だった。そこにいきなりで着火剤で点火を試みて燻していたことが想像できた。とりあえずはナタや手斧で、購入した薪を細割りにしたり、折ったりして焚きつけ用の細い薪を作った。私が焚きつけ作っているところを写真に撮ってもらった。その記事がご本人にブログにアップされている。
私が訪問したのは、良く晴れた少し暖かい土曜日の昼下がり、ご近所には洗濯物も干してある家も散見されて、薪ストーブの焚きつけるのは基本的には避けたい状況だ。それでも風向きや、近所の洗濯物の分布状況、在宅状況を確認して「大丈夫そう」と判断できたので、その場でいきなり焚きつけレクチャーをすることにした。本人がやる場合には、失敗しても問題が少ないように雨の日や夜に行うのが無難なのだけど、私がお手本を見せるということで、決行した。夜だと煙の出方が確認できないので、敢えて煙が一番確認しやすい状況下で行った。
下に太い薪、上に行くほど細い薪、そして最上部は割り箸と組んでチャッカマンで火をつけた。バーナーで一気に焚きつけるのが一番煙の発生は少ないのだけど、割り箸を大量に用意していたこと、そしてその家にあるバーナーに適合するボンベがない状況だったからだ。
チャッカマンだと温度の上がり方がバーナーより遅いので、焚きつけ時に若干煙は発生するけど、それも最初の20-30分だけで、それ以降は全く目視確認できなくなる。それを実際に目の前でやって見せた。臭いについてもベランダから確認しても終始、全然判らない状況だった。
ガンガン焚いて温度を上げていく。室内で塗料の焼ける臭いがしたのでこれまでこの薪ストーブでは「慣らし」の温度域にさえ一度も達してないことが判る。その後、炉内にこびりついた、煤やタールも焼けて白くてクリーンな状況となった。
ご主人様は何度も屋外やベランダへ出て煙や臭いの状況をチェックして「これなら大丈夫」と安心、納得できたようで、レクチャー前の不安な顔から、明るくてうれしそうな顔に変化するのが感じられた。そして「2年経った今、やっと引っ越してきたと実感できるようになった」という言葉をもらった。新築時からこういうふうに焚けるのが無難で良かったのかもしれないけど、2年間溜めてきたことなので喜びは一層大きかったのかもしれない。薪ストーブのトラウマからレスキューできた。この家族も、この家の近隣住民も幸せになるだろう。
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