ピキャンオーブンに初火入れ

オーストラリア製のクッキングストーブ「ピキャン」のオーブン(ネクター)は優れものだ。炉の上の丸い蓋が取り外し可能で、鍋底に直火を当てることができる。ちなみに燃焼中に蓋を外しても炎が噴出してくることはないので、安心して欲しい。蓋と取らずに直火でなくても天板の温度は普通に400℃くらいに達するので、バリバリ料理に活用できる。大量のお湯もボコボコ沸騰するし、焼き物も楽勝だ。
ピキャンオーブンの天板
さらにオーブン室が炉の下にあって、排気がオーブン室の周囲を取り囲むような通過経路になってから、煙突に排煙されるので、オーブン室もしっかり200℃以上になるのでヤキイモ、パンやケーキ作りはもちろん、ピザだって焼ける。上で直火料理、炉内で熾き火料理、オーブン室でオーブン料理と三段活用できる、料理好きにはたまらない魅力がある機種だ。
オーブン室の温度計
この夏に薪ストーブ設置工事をして、いよいよシーズンに入ったので、取り扱い説明に行ってきた。いつものように上から着火方式を試してもらった。施主さんは焚き火好きなので、スムーズに上手に火をつけてくれた。オマケで明治時代のビンテージ薪を焚きつけとして持参したので、非常に良い立ち上がりだった。そのまま時間をかけて温度をガンガン上げていく。
ピキャンオーブンの焚きつけ
ピキャンオーブン全開立ち上げ
すると薪ストーブの表面に塗られている油や塗料が焼けてきて煙が出てくる。これは初めて火を入れた薪ストーブの場合は大なり小なり発生する現象だ。知らないと薪ストーブから煙が漏れていると不安になるかもしれないが、これは正常な現象だ。この油を焼き飛ばしてしまわないといわゆる「慣らし」の意味もない。家じゅうの窓を全開にしてそのまま焚き続けた。この臭いはかなり強烈で人によっては目や頭が痛くなってしまうこともあるくらいだ。あまり寒くなってからだと、窓を全開にして焚くのに抵抗が出てしまうので、少し涼しいくらいの時に初火入れ&慣らし焚きを済ませてしまった方が良いと思う。多分最初の2-3回だけは多少に臭いが出てくるだろう。回数を重ねるにつれて、だんだん臭いは気にならなくなる。
初火入れでの煙
その後で二次燃焼の状態まで持っていき、空気調整のコツを教えてきた。温度もしっかり上がって炎の様子も良い感じのオーロラ燃焼となった。立ち上げ全開時のオレンジ色の炎とは違う、透明な炎となってくるのが判ると思う。外に出たり中に入ったりして、空気を絞り過ぎると、炉内の温度が高くても白い煙が出るので、排煙が透明になる適切な限界点を見つけるようにと、実際にやってみせて説明した。
また、玉切りされた原木が用意してあったので薪ストーブの温度を上げるまでの待ち時間に外に出て、薪割りのコツ、斧や手斧の使い方なども実演して教えて、コツをつかんでもらった。きっと快適で楽しい薪ストーブライフを送ってくれであろう、手ごたえを感じた。
ピキャンオーブンの二次燃焼燃焼の様子
ちなみにこの薪ストーブの場合は二次燃焼の空気の調整は、プリセット式だ。扉の上部に六角ボルトが埋め込まれていて、このボルトを緩めて、固定されている鉄板をスライドさせて扉の上部から炉内へ入る隙間の量を調整するようになっている。隙間が何ミリというのは薪の乾燥度合い、樹種、煙突の高さ、二重かシングルか、標高、その時の温度などによって違うので、一概に何ミリと言えるわけではない。環境によって全然違うので、自分で見つける必要がある。もし決まっていたならば、メーカーもここを調整式にはしないはずだ。調整のコツは、しっかり温度を上げた状態で、一次燃焼の空気をギリギリまで絞った時に、ユラユラと良い感じの二次燃焼になるようにするのが良い。一次燃焼の空気を絞った時に、酸欠気味で炉内が暗くなりすぎる場合には隙間が狭すぎて二次燃焼の空気が足りないと判断できる。なお、この調整は炉が冷えている時に行う。何回か調整するとベストポジションが解るはずだ。もちろん、このことは重要なのでユーザーさんにはしっかりと伝えてきた。
アース・リー山武店で薪ストーブを導入した場合には、このように丁寧に時間をかけて、しっかりレクチャーして初心者でも安心して使えるようにフォローしている。
ピキャンオーブンの二次燃焼の調整方法
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コメント

  1. けんいち より:

    いつもブログ楽しみに拝見させて頂いてます。
    既存の住宅に個人輸入して自分で薪ストーブの設置を考えてます。
    すべてを自分でやってみたいのですが、自信がないので
    カワハラさんにコンサルタントを依頼しようと思ってます。
    予定では、今年中に手配、来年の夏ぐらいに設置、
    来年の冬には薪ストーブライフを楽しみたいと思ってます。
    こういう場合のコンサルタントは可能ですか?
    可能であるなら、どこから相談、依頼すればよろしいでしょうか?
    ちなみに今のところ機種は、ドブレ700SLです。

  2. フレンチ より:

    上からの着火での焚きつけですが、私も試してみたのですが、確かにそのまま放置出来るという点では楽ですね。ただ、一次給気全開でないと燃えて行かないので煙突からどんどん熱が逃げてその分室内への放熱が少なくエネルギーを無駄にしている感がありました。焚きつけとは言え寒い時期の朝は少しでも早く室温を上げたい、そんな時には不向きかな?と感じました。

  3. かわはら より:

    けんいちさま:
    薪ストーブ導入コンサルも可能です。これまでに既に何件も個人輸入での設置を含めて行っています。
    お問い合わせはこのブログに右側のサイドバーからメール送信できるので、そちらからお願いします。

  4. かわはら より:

    フレンチさま:
    上からでも下からでも焚きつけ時は一次空気全開で変わりありません。
    また薪ストーブの表面温度が十分に上がるまで、常に全開フルパワーです。
    この段階においては、炉内や表面の温度を上げることにのみ専念して、煙突から熱が逃げるなどと考えても無意味です。
    最初の30分から1時間程度は、薪ストーブからの暖房とか熱は期待してはいけません。

  5. フレンチ より:

    うちでは焚きつけは最初細いものだけを大量に使います。そのため大量の熾きが早く出来、また一次給気を絞ることも出来ますしこの時点で前面にくる放熱も多いです。焚きつけで熱が逃げるのは避けられないですが上からの着火やり方だと下の太い薪が燃えるまで一次給気を絞れないので太い薪が燃えると言っても最初の熾きを
    作る作業でしかない訳です。それならば細い焚きつけで大量の熾きをつくり、そこへ中割以上を投入したほうが二次燃焼に持っていく時間は早いと思います。早く部屋を暖めるには大量の熾きをいかに早く作るかだと思います。

  6. フレンチ より:

    加えて下からの着火は排気抵抗があるため熱が逃げにくいと考えます。そして細めの薪だけを使うというのがポイントで全体に火が回るのが早く焚きつけの時点で吸気を絞る事が出来ます。それらの事から熱が逃げにくくその分室内への放熱があるのだと思います。是非一度お試しください。また、触媒やセラミックスボックスを搭載している機種にも早く温度が上がるのでこの焚きつけは有効と思います。

  7. かわはら より:

    フレンチさま
    ご教授ありがとうございます。大量の焚きつけを用意できるときはその方法は有効だと思います。
    細枝が燃えて熾きになった時に、次の薪の投入と手間をかけることも必要ですが、それができる人にとっては合理的なやり方ですね。
    クリーンバーンでも同様だと思います。

  8. ぐりむ より:

    コチラの方のブログも楽しみにさせて貰ってます
    無知な質問ですみません
    最初の慣らし焚きの塗料の焼ける・・・
    ホーローなどの塗料をした機種でもかなりニオイなどするものなのですか?

  9. かわはら より:

    ぐりむさま
    ホーローの薪ストーブも何度か初火入れしたことがありますが、あまり臭いは気にならなかったように思います。最近で憶えているのはヨツールアイボリーです。
    でもメーカーによっても違うかもしれません。レポート楽しみにしています。

  10. まゆぽん より:

    はじめまして。新しいブログも感じいいですね。
    このピキャンは初めに希望した機種でした。
    でも、ストーブ屋さんに
    「全然暖かくない!」
    と、ピキャンを展示しているにもかかわらず、バッサリ言われました。
    2階炉だから、下のほうに熱が行かないのでしょうか?

  11. かわはら より:

    まゆぽんさま
    ありがとうございます。
    写真にもある通りで下のオーブン室もしっかり200℃以上になりますよ。これはまだ慣らし焚きでそれほどガンガン焚いた状態ではないですが、それでも楽勝です。
    排気が下のオーブン室の周りを抜けるような設計になっているので、下にも熱が回ります。
    もちろん料理としてのオーブン室だけでなく、薪ストーブとして暖房能力もバッチリですよ。
    その薪ストーブ屋さん、「使ったことないから知らない」と言えば良いのに、平気で嘘つくのですね。多分、他の機種を売りたい事情があったのだと思います。

  12. フレンチ より:

    更に付け加えると、ストーブへのダメージという点ですが、上からの着火は(心配するほどの温度では無いにしても)長時間空気全開で熱が局所に集中してしまうのでその事が何年か後にどうなのかな?と思います。うちの
    場合は天板の温度が比較的緩やかに上昇して行きまし、逆に前面温度は比較的早く上昇するので次に投入する中、大割の薪で二次燃焼に移行します。巡航運転までの手間の数は結局は同じ、しかし早くそれに乗れると言う訳です。また薪のエネルギーを極力無駄にしない焚き方としても有効と思います。細めの焚きつけを沢山用意するとは言っても指1,2本程度の太さなのでさほど面倒では無い筈ですし、太さが同じ位なので火が燃え移るのが容易で焚きつけの組み方に気を使わなくても良いというメリットもあります。

  13. かわはら より:

    フレンチさま
    上から着火方式も一気に燃え広がることなく、ゆっくりと少しづつなので、薪ストーブへのダメージは少ないと思いますよ。スピードはむしろ、小割多様で下から着火より遅いと思います。
    焚きつけ時は、どちらのやり方でも、それほど薪ストーブへのダメージは考えなくて良いと思います。
    それよりもある程度温度が上がって巡航状態になった後の温度管理が重要だと思います。

  14. はな より:

    Pecan Oven使っていますが、天版での適温温度がわからず、こちらにたどりつきました。天板で400度はこのすとーぶであれば良いのでしょうか?だいたい300-350度後半でいつも使っているのですが、時折400度、もしくは400度越えをしています。

  15. かわはら より:

    はなさま:
    その使い方で全く問題ありません。たまに温度が400℃超えても大丈夫ですので、気にしないでガンガン焚きましょう。

  16. はな より:

    ありがとうございました。メーカーにも確認しましたが、天板で調理できるようにしている点、鋳物でなく鋼鈑なのでそういうものとのことでした。メーカーの情報も助かりますが、専門のかたや使ってらっしゃる方の情報も助かりました。薪ストーブは奥が深いですね。なお、pecan ovenはいいですよ。うちでは吹き抜けを介し、1、2階で60平米ありますが、全てあったかいです。そして料理が楽しいですよ!!

  17. かわはら より:

    はなさま:
    メーカーにも確認取って、これで安心ですね。正しい使い方を知ってれば、心配しないでいられますからね。
    ピキャンオーブン、私も良い薪ストーブだと思います。導入されたところでは、みんな喜んで使っています。
    料理が得意な薪ストーブなので冬場は楽しいですよね。