「新築住宅に薪ストーブを設置したい」という案件があった。上棟が無事に完了して、野地板&ルーフィングができたタイミングで、現場に呼んでもらった。この段階だと家の骨組み、構造が見ただけで判るので、煙突の配管ルートや固定する位置など、安全対策の上で合理的な提案できるのだ。
クレーン車がまだ現場にあってブームも格納されていない状態
薪ストーブ設置位置の上部の屋根裏
薪ストーブの設置位置が変更できない場合に煙突を真っすぐにすることを優先すると、家の構造との兼ね合いで、相当慎重な設計が要求される。一番最初に設計士にそのことを伝えておかないとまず無理だろう。
これから、屋根の上にチムニーを作成することになるわけだけど、この時点では、どこにどのように骨組みを固定するのが一番強度が出て安心かという視点で考える。今回は太い母屋や梁に固定することにした。薪ストーブの設置位置の真上に煙突の芯が来ることは優先しない。大きな吹き抜けの空間なので多少煙突を折り曲げても大きな問題はないからだ。
母屋や梁などのサイズに合わせてチムニー柱を立ち上げると、そのままだと既製品の角トップが使えなくなってしまう。そこでチムニー先端を先端を絞ったこのような形(凸)にして、上部の小さい枠部分の角トップをかぶせる作戦にした。
大空間の吹き抜けになる設計
梁を利用して煙突を固定することにした。チムニーの真芯に煙突を通すと、梁から煙突が離れてしまって既製品の煙突固定金具が使えなくなってしまうので、壁面側にオフセットさせるようにした。
このように、少しの工夫と手間で既製品を使って安く仕上げることができるので、安易に特注品を使わない合理的なやり方を考えている。高い位置で数センチだけオフセットさせても見た目は全く判らない。
薪ストーブ設置位置の土間空間
ここも難題があって、薪ストーブの背面、側面は耐力壁になっていて、外気導入の穴一つ開けてもダメということだった。土間で基礎コンクリートを打ってしまっているので、床下からの外気導入も難しい。そこで基礎の上に乗っかっている通気パッキンの網目を利用して外気導入を引き込む作戦を思いついて、提案してきた。
まだ、内装の石膏ボードの施工前だったので「かわはら式耐震煙突固定」が実現可能な状況だったので、当然そのプランも導入することにした。
そして、この現場は、設置する場所も基礎と一体化した土間、使用する薪ストーブも鋼板製で脚が強いタイプを希望なので、「アンカー固定」&「かわはら式耐震煙突固定」で上下からがっちり薪ストーブ本体を抑える完璧な耐震対策が行える。そういう意味でも楽しみな現場だ。
やっぱり、こうして現場に来ると、その現場に合わせた色々アイデアが思い浮かぶ。図面だけでは判らない部分というのがあるので、こうして早い段階で呼んでもらえるのは、ありがたい。
地元の秩父ワインをお土産にいただいた
埼玉でもワインを作っているなんて知らなかった(GKTとは、ワイナリーの三世代の名前の頭文字)
夏なので冷蔵庫で冷やしてから飲んでみたが、濃厚な味わいと香りで美味しかった。ゆっくりと時間をかけて飲んでいると温度の上昇とともに味わいもマイルドになってきて色んな飲み口を楽しめた。
ワインをいただいたから、やる気が出て頑張るというわけではないけど、こうやって地元の名産をいただくと、素直にうれしい。
打ち合わせの後に工務店からチムニーの設計図面が届いた
強度を確保できるように、単に屋根の野地板の上に乗せるだけではなく、母屋や梁などの建物の構造部分にチムニーの4つの柱を全て固定する方法で構築する。煙突固定金具の木下地の位置もきっちりと盛り込んである。現場での打ち合わせ通りの図面が届いたので、誤解なく伝わっていることが確認できた。
「施主さんのためにより良いものを提供したい、作りたい」という共通の目的が薪ストーブ屋の私と工務店の間で感じられる現場なので、気分が良いし、やりやすい。