「室内の煙突がシングル煙突の方が暖房効果があって良い」なんて言われたり「ローコストで施工したい」ということで、室内側の煙突をシングルで考えている人も多いだろう。暖かくてローコストならば良いこと尽くしでデメリットはゼロだ。それを信じている人も多いけど、今回の記事では、それが本当なのか検証してみよう。
まずは論より証拠で、この記事を書くにあたって事前に、既存の室内の吹き抜けのシングル煙突を、二重断熱煙突に入れ替えする工事を、かわはら薪ストーブ本舗に、過去にご依頼いただいた、複数のお客様に、久しぶりに連絡を取って、体感レポートを伝えてもらった。すぐに返信いただいて、レポートを寄せていただいたことに感謝したい。

吹き抜けのシングル煙突を撤去して二重断熱煙突に入れ替え工事の様子
入れ替え工事の直後に行った火入れの際に見られたお客様の表情やリアクションから、明らかな効果があってご満足いただいていることを、私は認識している。焚きつけで火入れした直後から「今までと全然違う!」と口を揃えて言われるのだ。そういうことを、もっとアピールしないと、広く伝わらないので、この機会に、いただいたお客様の生の声をブログの記事にまとめてみた。
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複数のお客様の数シーズン使ってからの感想から、シングル煙突から二重断熱煙突に入れ替えたらどれだけ違うのか、リアルに伝わると思う。

このような変換アダプターを使って既存煙突と接続する

アダプターの下側は爪(突起)がある
実際の工事の際には、その家で使っている既存の煙突メーカーが不明のことが多いし、仮にメーカーが判ったとしても廃版になっていて同じコネクターが入手不可になっていることも多い。そこで、他社製の既存の煙突の天井貫通部分付近で使われている二重断熱煙突と国産の二重断熱煙突を接続するための、爪なしの「変換アダプター」を使う。コネクター部分に爪(突起)がないので、引っかかることなく形状の異なる他社製の既存煙突のコネクターに取り付けることが可能になる。既存煙突のシングル煙突を撤去してから、この変換アダプターをピアスビスで既存の他社製の二重断熱煙突に固定する。変換アダプターを取り付け後に、国産の二重断熱煙突を接続して、室内側の吹き抜け部分を二重断熱煙突で延長して、薪ストーブの口元付近まで「オール二重断熱煙突」の仕様に修正できる。
このような国産二重断熱煙突への変換アダプターが販売されていることで、屋外側の既存の二重断熱煙突まで撤去せず(つまり雨仕舞をやり直すことなく)、室内側だけの工事で済むので、高品質で見た目もスッキリ綺麗な仕上がりの国産の二重断熱煙突を使っても、比較的ローコストで実現できる。必要な部品点数も少なくて済むし、工期も一日で完了する。
このように既存のシングル煙突から二重断熱煙突に入れ替える工事を、かわはら薪ストーブ本舗では積極的に行っている。ご依頼があれば、喜んで対応する。ぜひとも違いを味わって欲しい。
ちなみに自社施工の物件は、最初から100パーセント口元付近まで二重断熱煙突で提案、設計、施工しているので、入れ替え工事する必要がなく、シングル煙突から二重断熱煙突へ入れ替えた際の違いの検証ができなかったが、10年ほどの歴史の中で、そういう依頼が積み重なってきて、二重断熱煙突に入れ替えた際の、お客様の満足度の高さを実感している。

変換アダプターを、他社製の既存煙突に取り付けたところ
ここから下は新規で国産の二重断熱煙突を接続して、薪ストーブの口元付近まで降ろしていく。
このような施工で、シングル煙突から二重断熱煙突に入れ替えた私が入れ替え工事をしたお客様5件のレポートを以下に掲載する。いずれも別荘ではなく定住の住宅で、煙突経路は、ストレートだけでなく、エルボでの折れ曲がり有、壁抜きでの施工など、あらゆるパターンがある。それぞれのリンク部分をクリック(タップ)すると、施工の状況や様子が判る記事を参照できる。
■仙台市 W邸コメント
立ち上がりは、以前は火を付けても中々炎が上がりづらかったのにたいして、二重断熱煙突にしてからは早く炎が大きくなり、上昇気流に乗るのも早い気がします。
空気の調整ですが、以前は温度を上げてダンパーを閉めて一時燃焼のレバーを絞るのですが、はっきり言って完全に閉めない限りは違いが正直あまりわかりませんでした。
二重断熱煙突にしてからは、微妙な調整で炎のゆらめきが変わるので、こんなに違うものかと感じましたね。
もう一つの違いは朝に灰を見ると、燃え残りも少なかった気がしました。以前は結構、黒く炭化した薪が多かった気がします。
■土岐市 M邸コメント
川原様ご無沙汰しております。我が家は、最初シングル煙突でした。薪ストーブを導入する際に、あまり勉強をしてなかったので、少しでも安く導入したいと思い煙突はシングルでいいと思っていました。使っているうちにこれが普通だと思っていました。川原さんのブログに出会い、薪焚亭さん・クーパーさん他色々な方のブログに出会って煙突が大事だと知りました。MAKIWARIサンに川原さんを紹介していただき、関西出張の途中に寄っていただき、薪ストーブのメンテナンスと煙突交換して、焚き方のレクチャーもしてもらいました。以降、薪の使用量はあまり変わらないけど、家の中が温かく感じるようになり、朝起きても以前よりも温かく感じられるようになり、薪ストーブ生活がより楽しくなりました。メンテナンスと煙突交換、焚き方のレクチャーをお願いして本当に良かったです。
■嬬恋村 K邸コメント
焚きつけの際に着火剤や紙を使う量が減りました。着火してからの炎の上がり方が早いです。その炎の色が明るい!
シングル煙突の時は煙突からの熱量がストーブ本体よりあった気がします。ちょっと怖いですね。洗濯物を煙突回りに干していましたが、うっかり煙突に接触したシャツの袖が少し焦げたことがありました。
ダンパーの効果が分かった。シングル煙突の時は絞っても違いがあまりなかった気がします。
燃費が良くなった。薪をついかした後、炎の回り方が早い。
外の煙突からの煙の色が透明になった。前は少~し白い煙が出ていました。
灰の質が違います。サラサラの灰になりました。シングルはダマになった灰が多かったです。薪の乾燥具合やヤニによるものと思っていましたが、煙突も影響すると思います。
■京都府 T邸コメント
火つきが良くなった
燃費が良くなった
煤の量が激減した
煙突固定がしっかりして台風の時も安心になった
「火をつけて、すぐに扉を閉じても燃えてくれるようになった」
「焚付けの炎が燃えやすくなった」
「炎が明るくて綺麗に燃えるようになった」
「燃え広がるのが早い」
そして温度が上がって安定燃焼してからは・・・
「空気を絞ってもユラユラ安定して燃える」
「ガラスも綺麗」
また、この機会に私が施工したユーザーだけでなく、私の同業の薪ストーブ店の仲間2店にも訊いてみた。「これまでシングル煙突から二重断熱煙突に入れ替え工事したのは何件くらいで、お客様の感想、印象、手応えはどんな感じか?」と質問した。いずれの2店も、私と同様に、これまで4-5件施工しているそうだ。そのうちの一店の話を紹介しよう。
私と一緒にベルギーに行って以来、7年ぶりの情報交換となった。
■群馬県 薪ストーブショップ店長 I氏コメント
過去10年間内に4件くらいです。
お客様と会った時に聞いた感想くらいですが、以下のような感じです。
・見た目がキレイ。
・煙突同士の接続がしっかりしてる安心感。
・焚付け時にドラフトが早く発生するのを感じた。
・炉温が低下してきても給気が安定してるのを感じた。
・ススの付き方が極端に減った(改良以前は、シングルに変わった時点で掃除ブラシが止まった)
・ストーブが立ち上がった時のギシギシ音がなくなった(煙突が熱膨張する音ですね)
・煙突の熱を恐れて壁との離隔が600ミリくらいあり、ストーブが思い切り前に出ていた現場がありました。室内を断熱管に替えて、45度曲りで400ミリ近く芯ズレさせてストーブをバックさせました。何年もストーブが邪魔で苦労していたとの事で、空間がスッキリして喜んでましたね。
変えた人は希望して施工したので、ほぼ良い感想です。
このように、複数のコメントから、施工している私が「良い」と言う以上に、説得力のあるシングル煙突から二重断熱煙突に入れ替えた際の生の声が伝わったと思う。
「効果が実感できなかった」「お金をかけた意味がない」というような、やったことを後悔する趣旨の反応は皆無だ。今回の記事で掲載したサンプル数は10程度だけど、シングル煙突から二重断熱煙突へ入れ替えた薪ストーブユーザーの100パーセントが、明らかな体感をして、満足しているという事実は否定できない。この記事では、私のつきあいのある周辺の(仲間の)薪ストーブ専門店の3店だけの調査だが、今後、もう少し範囲を広げて調査すると、より「二重断熱煙突の理由」「シングル煙突の方が暖かいという神話の誤り」が一般に広がって、新しい常識が定着していくと思う。
「燃え方がイマイチ」「燃費が悪い」「思ったほど部屋が暖かくならない」というような場合には、ミスマッチのサイズの機種を使っているのでない限りは、現在使っている薪ストーブ本体を入れ替えるよりも、煙突をシングルから二重断熱煙突に入れ替えた方が効果が絶大だと思うし、満足度も高いと思う。
「データがないと信じない」という人もいるけど、シングル煙突から二重断熱煙突に入れ替えた際の効果が「嘘」や「誇張」だったら信用をなくすだけだし、これまでのお客様の声からも解る通り、私は絶対の自信を持って勧めている。薪、薪ストーブ本体、焚き手(焚き方)の3つの要素が同じで、煙突という要素だけが違う場合の実例を複数、経験しているからこそだ。
シングル煙突から二重断熱煙突に入れ替えた結果、燃費が良くなり、燃焼効率、暖房効率が良いことを、数値で検証したデータを取るのは、それなりに手間と時間がかかるので、簡単ではない。しかし、交換後の、煙突掃除の際の煤やタールの量の激減からも単純に、一目瞭然で、証明可能だ。つまりシングル煙突だと、薪ストーブの炉内で燃えて熱になって室内を温めることのできる成分が燃え残って煙突に付着しているわけだ。薪の持つエネルギーをシングル煙突の場合には無駄にゴミとして捨てているということだ。ちなみに煙突内に付着する煤だけでなく、シングル煙突の場合には排煙が透明になりにくいというレポートもあった通りで、大気中にも本来燃えるはずの可燃性分を「煙」という目に見える形で長時間にわたり捨て続けている。薪ストーブの表面温度と室温の推移、薪の消費量などの測定値を、条件を揃えて正確に記録すれば、今回紹介したような、実体験によるコメントだけでなく、数値にも表れることは明白だろう。
実際に数値での根拠を示すと、私が設計時点からアドバイスして制作されたヒミエルストーブでは、二重断熱煙突の方が燃焼温度が高いことを、複数回の計測データを取得して確認している。シングル煙突の場合は平均570℃、二重断熱煙突の場合は平均660℃と、煙突の違いだけで、燃焼温度が100℃近く違うのだ。
これまでシングル煙突から二重断熱煙突へ入れ替えたお客様の体験談、煤や煙の量の違いなど目視確認できる変化は、このように数字にも出てくる。燃焼温度が100℃違うというのは、無視できない、極めて大きな違いだ。
そもそも「シングル煙突から放熱することによって室内側に伝わる熱量」より「薪ストーブ本体から放熱する熱量」の方が圧倒的に多いわけだ。
シングル煙突の使用により排気温度が低下した分だけ排気速度(ドラフト)が弱まり薪ストーブ本体の燃焼効率が落ちて、発生する熱量が下がり燃費が悪くなっているのだから本末転倒なのだ。
同じだけ室温を上げようとしたら、薪を大量に使うわけだし、同じ量の薪ならば室温が上がらない。そのことは上記のユーザーレポートからも、物理の原則からも解ることだ。
シングル煙突でローコストになった分以上に、薪代(作るコスト、買うコスト)が高くなり、数年の使用でかえって高くつくということになる。
二次燃焼システムを持つ高効率の現在の薪ストーブでは「シングル煙突からの放熱で暖房効果が期待できる」というのは明らかに間違った神話で、正していく必要がある。
もし、シングル煙突から二重断熱煙突に入れ替えて、後悔するような人がいたら、個人的には元に戻して全額返金しても良いくらいなのだけど、撤去した傷だらけだったり、汚れていたり、破損したシングル煙突が再利用できないという問題がある。撤去の際には切断、破壊しないと無理な場合が多く再利用が難しいので廃棄処分せざるを得ない。仮に再利用できるケースでも、保管の問題や、悪意のある依頼(最初から返金目的の嫌がらせ)などを排除する方法も併せて検討しないと自分の首を絞めることになるので安易な「お試し」のキャッシュバックキャンペーンという類は慎重に考える必要がある。万一「効果が感じられない」と言われてしまったら「返金や追加の負担金はなしの無料で、新品のシングル煙突に再度入れ替えて、二重断熱煙突は回収」という対応を取るのが現実的かと思うのだけど、もっと良いアイデアがあったら教えて欲しい。
これを機会に、「シングル煙突から二重断熱煙突に入れ替えたい」という人がいたら、下記のメール送信フォームから、依頼をかけて欲しい。
なお、かわはら薪ストーブ本舗で施工する場合には、高品質な国産の二重断熱煙突を使用する。
ご満足いただけることを確信している。
※送信ボタンを押す前に、記入いただいたメールアドレスの再確認をお願いします。誤りがありますと、こちらから返信できません。
また、「普段あまりメールしない」「LINEの方が連絡しやすい」という方は以下からどうぞ。
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コメント
平均薪は年間3トン(約20万円相当)。空気を絞り10パーセント(約2万円)の節約をしたとするとシングル煙突とダブル煙突の差額分数十万円が10年弱で逆転。しかも『クサイ煙が部屋にこもらない』『火事リスク低減』『リビングのデベソ解消や子供のヤケド防止』など、、、間接的な利点がきっと数知れずあるのね。
薪ようこさま:
おっしゃる通りだと思います。
さらに綺麗なオーロラ炎が好きな人なら、「空気を絞った時の炎の表情で楽しむ」という点も挙げられますし、煙突掃除の際に煤の量が全然違うので「室内が汚れにくい」という利点も挙げられます。