先日までの記事で、高気密高断熱住宅の「気密性」に特化した観点から、薪ストーブと住宅の相性について説明してきたが、今日の記事では「断熱性」に特化した観点から説明する。
住宅の断熱性能は、一棟ごとに違うので、個別の案件ごとに考えていく必要がある。
「断熱材の断熱性」と「厚み」の掛け合わせで、断熱性能が決まってくるが、日本の住宅は、一般的に断熱性が弱い物が多い。新築住宅はもちろんだけど、既存の中古住宅だと、薄い断熱材で、なおかつしっかりと充填されてなくて、冬の昼間には家の中の方が外よりも寒くて、家の中で白い息が見えるというようなところもある。
本当に高性能な断熱性能の場合、暖房器具なしでも、人間の体温、家電製品からの排熱だけでも冬を過ごせる位のレベルも理論的には可能だ。このレベルの性能で、日当たりによる太陽熱の取り込み、地熱回収を行えば、暖房器具ゼロで快適に過ごせる位になる。住宅の断熱性を高めるために厚みを増せば良いのだけど、要求する断熱性能を高めるごとにコストが増していく。高性能な断熱材で厚みが300-400mm程度になるだろう。暖房代がゼロかもしれないが、建築コストが高くなる。
性能のそれほど高くない並みの住宅で、仮に灯油代や電気代で3万円かかるでろう冷暖房代金が、超高性能住宅でゼロになったとしても、年間での冷暖房費の削減金額は40万円ほどだ。30年で1200万円削減できるけど、建築コストが1000万円上乗せされたら、けっこう微妙な感じがすると思う人も多いと思う。トータルの支払いコストは金銭的には30年間で、並みの断熱性能でも、超高性能でも、どちらも、ほぼほぼ同じ。ただ家の中の温度が均一に暖かくヒートショックによる健康被害が起きにくいメリットは間違えなくあるが・・・。(これが日本で超高性能な断熱性能を持つ住宅が普及しない原因だと思う)
予算に応じた断熱性能の住宅を選択するわけだけど、上記の暖房器具なしでも冬を越せる超高性能でないにしても、6畳用のエアコン1台で全館冷暖房可能というレベルの断熱性能であれば、現実的に対応できる工務店も、それなりにある。このレベルの断熱性能だと、暖房としての薪ストーブは不要という結論になることも多い。そもそも、薪ストーブがなくても暖かい室内を維持できるのだ。
ここに薪ストーブを導入する場合には、暖房器具としての意味合いではなく「趣味の道具」「炎を楽しむ癒しのツール」としての性質が強くなると思う。そこによくある売れ筋の一般的な中型、大型の薪ストーブを焚くと、部屋が暑くなりすぎて快適とは言い難い室内温度になってしまう。高性能な断熱性能を持つ家に薪ストーブを導入するのであれば、小型薪ストーブの一択だ。各メーカーから出している最も小型なモデルを選択するのが良い。なおかつ、熱の伝わり方がマイルドな素材であるソープストーンだと、ジンワリと長持ちする放熱により家の断熱力とマッチして短時間の炎だけで1日暖かく、さらに相性が良いと思う。
これからの高性能な断熱性能を持つ家に、お勧めの機種が、アルテックのソープストーン製の薪ストーブ「ノーブル」だ。
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