最初にアポの電話があった。希望の日時は茨城で工事の予定が入っていたので、いくつか別の候補日を上げて調整した。
滅多にない「当日の夕方」で決まった。たまたま外出せずに、工事の準備、事務処理などで店にいる状況だったからだ。普段は工事や打ち合わせ、現場確認などで外出していることの方が多いので、ノーアポで突然来店されても、不在にしていて対応できないケースが多い。
福祉介護施設を設計中の設計士との打ち合わせで、夕方にご来店いただいた。軽く話をしたら、既に私の知っているお客様の名前が複数出てきた。共通の知り合いがいると、全くの飛び込み、新規のお客様よりも安心感、信頼感が最初からある。
もちろん、飛び込み、新規のお客様に対しても、分け隔てなく誠意を尽くして対応するけれども、「名前も言わない」「ただ目的の薪ストーブを見に来ただけで設置は他店でやるのが見え見え」という場合も多い。
まだ建物の仕様も確定していない段階のラフプランの参考図面を持ってきてくれたので、その図面をもとにアドバイスをした。
色々と薪ストーブの機種を調べてきて、具体的な機種名を出されたけど、「入手しやすい薪が針葉樹」という条件があったので、これまでの候補に入っていなかった「針葉樹を安心して焚ける」という設計の岡本AGNI-CC、ネスターマーティンも選択肢に加える提案をして、カタログを渡した。
薪ストーブの機種は後でゆっくり決めれば良いので、さらりと軽く流しておいた。
現時点での本題は「煙突をどこからどう出すのか」ということだ。建物の部屋割りから理想の設置場所が決まってくるので、その位置から合理的に煙突を出すプランを提案した。屋根の勾配の取り方によっては棟や梁の位置に煙突が来てしまって問題となるので、屋根の勾配の取り方を提案して、屋根材も雨仕舞いに有利な素材を提案した。
設計が固まってしまうと、煙突を折り曲げたり、合理的とは言えない煙突の配管経路になりがちなので、修正できるラフプランの段階で打ち合わせに来てくれて良かった。
もう一件、別件で設計士からの相談を受けている案件があるのだけど、こちらは既に設計が固まってしまって、「煙突を斜めに長く伸ばしても大丈夫?」というところからのスタートだった。「燃えないことはないけど、斜め部分に煤が積もりやすくなるし、排気抵抗になって室内側に煙が漏れやすくなったり、メンテナンス性も悪いし、実用性はイマイチ」ということをお伝えした。「なるべくオフセット量は減らす方が無難なので、修正できるならした方が良い」とアドバイスした。施主さんの意向を聞かずに、薪ストーブの機種も決めてしまう勢いだったので、どうなることやらという感じだ。
「設計事務所に任せれば炎と薪ストーブのある理想的な家を建てられる」と施主さんは考えて依頼しているのだろうけど、実情はこんな感じなので、複雑な気持ちになる。
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