薪ストーブを知らない建築設計事務所や工務店を川原が斬ります!
内容は軽井沢だけではありませんが「超一流」と自負して自信タップリな建築設計士と一流工務店には、薪ストーブ設置におけるデカい穴がある!
それ【穴】があるかを試すテストとして二つだけ質問をすれば良い。
一つ目の質問は煙突についてだ。どんな煙突になるのか聞いてみよう。
コストを理由にして、そう言った無知な所は、ほとんどお決まりでシングル煙突仕様となる。「煙突からの熱で部屋が暖かくなる」という理由も出てくるかもしれない。もっともらしい理屈で、後になって実際に薪ストーブを使い始めてから施主さんが大体後悔することになり、二重煙突に交換したくなって結局高く付くお客様が出てきてしまう。
具体名は出せないが、軽井沢のトップ富裕層しか建てない有名な工務店や、そこの工務店が下請けで使っている薪ストーブ屋では、シングル煙突での施工が今だに有ったりする。ひと昔前のダルマストーブ系の、常に全開でガンガン焚き続ける薪ストーブであればシングル煙突でも良いけど吸気を極端に絞って、効率良く燃費良く焚く設計の現代の排煙基準の薪ストーブは、シングル煙突ではまともに燃えてくれない。
二つ目の質問は炉台についてだ。「部屋が狭くなると嫌だから、炉台は薪ストーブが乗るギリのサイズでいきたいんだけど・・・」と言ってみよう。
薪ストーブを自分で使ったことのある設計士や工務店だったら「狭い炉台だと、火のついた薪が落ちたり、爆ぜた火の粉が飛んでフローリングを焦がして危険ですから薪ストーブの前面は50-60センチ位は炉台にしましょう。フローリングとツライチにすれば部屋は狭くなりません」と提案してくるはずだ。オシャレな雑誌やカタログ、パンフレットなどに載っている薪ストーブのある部屋の写真を気をつけてチェックしてみよう。薪ストーブのことをよく解ってない設計士や工務店が施工した「薪ストーブがギリギリ乗っている」炉台の写真を良く見かけると思う。
薪ストーブ以外での家の性能、仕様、デザインが気に入って、どうしてもその建築設計事務所や工務店に依頼して、薪ストーブのある家を建てたい場合には、この二つの単純な質問に対して誤った回答をしてきたら、契約前のどこかのタイミングで「薪ストーブだけは、私のこだわりで、御社の下請けの薪ストーブ屋ではなく、分離発注で、施主である私に直接発注させて下さい」と伝えることをお勧めする。
その設計事務所や工務店に薪ストーブ工事を任せてしまうと、使い勝手が大幅に悪くなる。下請けの薪ストーブ屋は、施主さんの意向を汲んで仕事をするのではなく、設計事務所や工務店の言いなりでしか動けない。「シングル煙突で」という発注がきたら「二重断熱煙突にしなくていいの?」というアドバイスはしない。工務店や設計事務所と、薪ストーブ屋は元請け下請けのビジネスライクな関係なので、施主さんに対しては、料金交渉にすら応じてくれることはないし、薪の作り方、焚き方などを熱心に教えてくれることもない。
下請け業者が元請け業者を飛び越して、施主さんに接することが厳禁なのが建築業界のルールであり鉄則だ。元請けのやり方を否定するようなことを、施主さんに言ってしまったら、下請け契約を切られてしまって、二度と仕事が回ってこなくなる。
炉台のサイズについても同様で、薪ストーブ本体がギリギリ乗る炉台だったとしても、口を噤んで(つぐんで)薪ストーブを置いてくるしかない。
施主さんの方で、薪ストーブの具体的な機種、型番の選定以外の、煙突や炉台、炉壁の仕様までを細かく指定するのは極めて難しいのが実情だろう。
煙突と炉台の、たった2つのテストで判るような単純なことだけでも、不十分で誤った知識の元に施工するわけだから、さらに深い「第三種換気における負圧時の外気導入対応の仕方」「薪の搬入動線の構築」「メンテナンス性の良い機種の選定や設計」なども、期待できないであろうことは言うまでもない。
別荘においては、煙突が外れないメンテナンス性を無視した超ローコスト設計の驚くような施工もたまに見かける。煙突が取り外せず、炉内に煤を落とすこともできない施工なので、煙突掃除の依頼を受けても、このように引き受け謝絶物件となる。
薪ストーブは「設置工事したら終わり」という性質ではなく、快適に使うためにメンテナンスして維持することが必須なのだ。メンテナンス性を無視した施工は、ユーザーの首を絞めることになる。しかし、薪ストーブを実際に使っていない設計士や工務店は、そこまで深く考えずに、安易なプランで施工していることが多い。
こういう実例を嫌というほど見ているので、後悔する人を少しでも減らしたい。快適な薪ストーブライフを将来送りたいと願い、川原にどうしても見て欲しいという案件は、関東近県でない場合でもご相談下さい。それなりに忙しいけど、困ったことになるのを防ぐために、お役に立てるのであれば、うれしいので、遠方でも対応する。
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コメント
薪ストーブの設置は炉台の大きさだけではありません。
壁が可燃材の場合間隔を開けて不燃材の壁を作らなければいけないし、ストーブの後ろ隅から可燃物までの距離や炉台背面の立ち上がり炉壁の高さなど、しっかりと計算しなければなりません。
ストーブの設置に関して記事を書くならば、トータルで説明しないと大変危険です。
eddieさま;
この記事の趣旨は、薪ストーブに知識のない設計士や工務店をあぶり出すためのノウハウです。
おっしゃる通り、炉壁は炉台以上に奥深いですが、炉台の広ささえクリアできないような業者であれば、そこまで期待できないのは簡単に推測できますね。
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伊集院隼人さま;
どんなサムネなら食いつくと思いますか?アドバイスいただけると幸いです。