東日本大震災の発生時、私は長野県での薪ストーブ設置工事のために、レンタカーのトラックを運転していた。カーラジオで地震発生の速報を聞いて、その時は「それほど大したことないだろう」と思っていた。現場近くのガソリンスタンドで店員さんが「すごい地震があったみたいですね」と声をかけてきたけど、その時も、自分の目で現場の画像を見たわけではないので、実感が湧かなかった。
とりあえず現場に到着して、お客様宅のテレビを見せてもらって、ニュースで津波の様子、原発が水蒸気爆発を起こしてキノコ雲を立ち上げている様子などの衝撃的な映像を見てから、初めて実感した。
現場での工事を終えても、直ぐに千葉に帰れる状況ではなかった。「帰宅難民」という言葉が発生していた通りだ。数日間お客様宅に泊めていただいて、情報を入手した。その頃はガソリンスタンドも閉鎖されていて、帰りの燃料も怪しい状態だった。普通はレンタカーはガソリン満タンで返却するのだけど、給油できない状態だったので、走行キロ数分の割高の燃料代を計算して支払った。
千葉に戻ったら計画停電で、不便な生活を強いられた。幸い、薪ストーブが使える状態だったので、炎が照明代わりになるし、暖房だけでなく、煮炊きもできたので、かなり助かった。この時に薪ストーブのありがたみを強く実感した。薪という形で自給自足できる燃料を備蓄できているということは、ライフラインが止まるような巨大災害時に役立つことを実感した。
東日本大震災の後の、熊本地震では、薪ストーブの転倒が発生したという情報も入ってきた。
自分が薪ストーブ屋になってから、巨大地震を二つ経験しているので、これまでの知見を活かして、少しでも地震に強い薪ストーブ設置をしたいという気持ちが自然に生まれた。薪ストーブが地震の際に転倒しないようにするのは、どうすれば良いのかを考えた結果「かわはら式耐震煙突固定法」という手法を思いついた。これは、薪ストーブの口元付近で煙突を建物に固定して、その固定の上側にスライド煙突を設定し、固定箇所の下はダイレクトに薪ストーブの口元と直結して、煙突が外れて転倒することを防止するというオリジナルのアイデアだ。
https://kawahara-stove.com/3pr_inst_feature/earthquake_resistant/
ネスターマーティンの薪ストーブの輸入代理店の京阪エンジニアリングでも、薪ストーブの底に特殊な耐震装置を取り付けて、それをアンカーボルトで炉台に固定するという製品を開発して市販化されている。鋳物の薪ストーブは脚がボルトで本体に固定されているだけなので、地震による衝撃でボルトが折れて脚が外れて転倒するというリスクがあるので、その弱点を根本からカバーする製品だ。
https://kawahara-stove.com/blog/2021/46939
かわはら薪ストーブ本舗では、可能な限りの地震対策を、実際の現場での施工に取り入れるように提案している。これは万一の際にも、薪ストーブを活用し続けることができるようにという願いを込めてのものだ。
当然のことだけど、地震対策のためには、それなりの費用も発生するので、問答無用で入れるのではなく、オプション扱いで、お客様との相談、打ち合わせの上で希望する現場で行ってる。(新築の場合は打ち合わせ時に内装壁面内に木下地を入れたり、炉台の仕様をアンカーボルトを打ち込めるようにしないと耐震施工不可能だし、リフォームの場合には内装壁面をはがす大がかりな工事となる)
↓ 画像クリック(タップ)で応援をお願いします
にほんブログ村
ランキングに参加しています・・・