曲がりくねった煙突にしてしまう理由を考察してみた

正しい知識のない人が取り付けた煙突で、曲がりくねった配管経路になっている例をたまに見かける。どう考えても煙突掃除できないだろうという感じでメンテナンス性を全く考えていないし、ドラフト(上昇気流)も維持できない状態だ。見ただけで「これでは燃えない」と推測がつく。

曲がりくねった煙突配管

こういう煙突でも最初の数回位は煙突が詰まっていないまっさらな状態なので、何とか燃えてくれる。工務店や大工は、その最初の時だけ燃えれば、あとは知ったことではないけど、実際にユーザーが使い続けると、どうなるかは想像がつくと思う。シングル煙突なので排煙が冷却されて煤が大量付着して、すぐに詰まってしまう。

燃えなくなって煙突掃除しようとして、ブラシを通したところで、完全に綺麗にできるわではないし、掃除の後に上の方から剥がれ落ちてきた煤が折れ曲がり部分に積もって、すぐに閉塞状態になる。閉塞しないにしても断面積が極めて小さくなり、煙の抜けが悪くなり室内側に煙が逆流ということになる。

工務店や大工は悪気があってこういう施工をしているわけではないと思う。自分で使ってないから、使い続けるとどうなるのかという予測がつかないのだから、仕方ない。最初にテストの時に燃えれば、そのまま使い続けることができるのだと頭に刷り込まれてしまうのも無理はない。多分、工務店や大工は煙突は、水道のホースや、電線と同じように、どんなに曲がりくねっていても、末端が屋外に出ていれば良いものと認識しているのだろう。水圧や電圧などの圧力で押し出すわけだから、それと同じように曲がりくねっていても問題ないということで疑問を持たずに施工していると思う。(薪ストーブは住宅設備の一つだから、給湯器への電気や水の配管と同じように認識しているのも無理はない)

煙突と水道のホースは、圧力を利用して排煙や水を送り出すものだとしても、全く逆なのだ。水道の場合は圧力が周辺の空気より高い状態なので、末端が解放されていれば、どんな配管経路を取ろうと勝手に噴き出してくれる。しかし、煙突は逆に周辺の空気より圧力が低くなっている負圧の状態だ。燃焼した際の排煙の暖気で容積が増えて軽くなって熱気球が上昇するのと同じ原理で、煙突から抜けていく。

つまり、排煙の温度が下がったり、複雑な折れ曲がりで抵抗があると、スムーズに煙突から抜けていかなくなる。煙突の末端部分までで、外気温と同じまで下がってしまったら、物理的にも煙が抜けなくなる。シングル煙突でグニャグヤ曲がっていたら、そうなるのは想像がつくと思う。

もしかしたら中途半端に知識のある工務店や大工は「昔はこれでも良かった」と言うかもしれない。それはダルマストーブのように空気を全く絞らない(というか絞れない)フルパワーで全開で焼却炉のように燃やす薪ストーブであれば、炎が煙突に常時噴き出すくらいの勢いなので、シングル煙突でも排気温度が下がらないで、抜けてくれるから、ある意味では正しい。

しかし、現在の薪ストーブは空気量を絞って燃費を良くする設計になっている。排煙温度も、ダルマストーブとは比較にならないほど低い。高性能な二重断熱煙突を、シンプルな配管経路を要求している。きちんと燃やすためには、煙突内でのドラフトの維持が極めて重要だ。

今回の例のような極端な曲がりくねった配管経路でなく、全部ストレートの室内吹き抜けをシングル煙突から二重断熱煙突に入れ替えただけでも、燃え方が全然違ってくるのが現実なのだ。

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薪ストーブの良好な燃焼のためには、煙突が極めて重要なのだ。

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コメント

  1. ヒロ より:

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    • かわはら より:

      ヒロさま:

      ご感想ありがとうございます。おっしゃる通りですね。

      シングル煙突で壁面を抜いたら火災のリスクがありますし、閉塞して煙が室内に逆流したら一酸化炭素中毒のリスクもありますし、命に係わることというのも大げさな話ではないですね。