今回の記事は施主さんには、あまり馴染みのないマニアックな内容になるかもしれないけど、実際のチムニー施工の際に見落とされがちな重要なポイントだ。
天端から60ミリ下に固定金具用のコーチボルトを打つので、ケイカルの内側には40ミリ以上の木下地が必要。この木下地がしっかりと入ってないと、煙突を強固に取り付けられなくなる。ケイカル板は、内装石膏ボードと同様に一般的には間柱で骨組みに打ち付けられることが多いので、下地を入れ忘れるとスカスカの太鼓状の空間となってしまう。この場合は通常の固定金具を使えなくなるので、下地を入れなおすか、屋根の野地板用の固定金具を取り寄せる必要が出てきて、いずれにしても予定していた施工日には作業できず、工事の進捗が大きく狂ってくる。
この現場に関しては、チムニー施工時に、木下地を入れているところを自分の目で見ていたので、問題はなかったけど、新築の場合には、打ち合わせの時に指定しても、実際の現場では下地が入っていないことがたまにあるので、コーチボルトを打つ時は、いつもドキドキしている。
このように折り返さないで、単純にチムニー外壁部分に板金を巻いただけだと、外壁上部がペラペラと動いてしまって納まりが悪くなる。かといって、チムニー天端全体に折り返してしまうと、架台を固定する時に、天端の木下地があるところ、ないところが判らなくなるし、架台のビス穴と干渉してしまう可能性が出てくる。既製品の太さの柱を使っていると、外壁の柱と、内壁の柱が別々で天端部分に、空間ができていることもよくあって、チムニー架台を固定するのに難儀することがある。
チムニー天端へ上方向から架台をビスで固定するので、チムニー天端部分はどこでもビスが打てるようになっているのが理想だ。外壁の柱と内壁の柱の間に、チムニー天端部分上から見た時に空間ができてしまう工法の時は20ミリ以上の厚みの枠を最後に上端に取り付けてもらうと良い。
また、チムニー内壁のケイカルと外壁下地のベニヤの間にはあらかじめ断熱材を入れ込んでおく。以下の動画に断熱材を入れ込んでいる様子が写っている。チムニー壁面の断熱処理も忘れられやすいポイントだ。
このことで、チムニーの内部も室内側の断熱された空間としての扱いになり、結露防止となり、さらに煙突の冷却防止でドラフトの上昇の効果も見込める。
室内側の天井裏の化粧板の上だけに断熱材を入れて、チムニー内部は外部空間としての扱いをする考え方もあるけど、私としてはチムニー内部も室内空間としての処理をする方が望ましいと考えている。
新築現場では図面に記載された寸法さえ間違えて作成されていることもあるというのが現実なので、この記事で書いた細かな内容は、図面上で打ち合わせしても、現場での上棟の段階で打ち合わせをしてたとしても、なかなか伝わりにくい。
実際に施工している時に、呼んでもらって立ち会って話をしないと、なかなか全部は伝わらない。施主さんのために良い物を作ろうとしている大工さんは、施工時に質問してきたり連絡があるので、その際に疑問点を解消して、問題ない施工をしてもらえる。
施工する人と、直接話ができた場合でさえ、施工する時に再度話さないと、以前に現場打合せの時に話した内容など忘れているというのが現実なのだ。
打ち合わせの時は「作る時にまた聞けばいいや」位の考えで、右から左へ流して聞いている印象が強い。そもそもメモさえ取ってないケースもある。そして実際に作る時には、煙突をガスや水道の配管や電気の配線と同じと考えて、「てきとーに作っておけば、これに合わせてなんとかするでしょ」というのが本音で、確認しないで自己流で作ってしまうケースが多いのだと思う。ガスや水道の配管や電気の配線は現場の状況に合わせてどうにでも曲げられるので、煙突もそれと同じように考えているのだと思う。
新築の場合、工務店の施工管理、現場監督のレベルの違いで、煙突工事もスムーズにいく場合と、そうでない場合のバラつきが大きい。
今回のリフォーム案件では、煙突貫通部分の造作、チムニー造作まで、全て、かわはら薪ストーブ本舗の監修の元に行ったので、とても良い仕事ができたと思う。
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